現地在住の39歳の男Aは、穏城駅から南西方向の鍾城(チョンソン)に向かう道の途中にある赤い岩の付近で犯行を繰り返していた。山の中腹にあり森に囲まれ人気がなく、女性は昼間でも通るのを躊躇(ためら)う場所だった。
Aは物陰に隠れ、ターゲットの女性が通りかかると覆面をかぶって女性を脅かし、性的暴行を働いていた。町では「あそこは危ない」との噂が立っていたが、具体的な情報は伝えられておらず、商売で行き来する女性たちが日没後に1人で通らないように用心するにとどまっていた。
今年9月、穏城駅に向かっていた21歳の女性がこの地点でAに襲われた。「性的暴行は、される方にも問題がある」とみなす社会的風潮から、性的暴行の被害に遭っても沈黙する女性が多い。国際人権NGOのヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)が10月に発表した北朝鮮の性暴力に関する報告書の中でも、そのような社会実態について、被害女性たちが血のにじむ証言を行っている。
(参考記事:「私たちは性的なおもちゃ」被害女性たちの血のにじむ証言を読む)それでも、この21歳の女性は勇気をもって保安署(警察署)に通報した。