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北朝鮮の国内市場は長年、中国製品に占領され続けてきた。統計は存在しないものの、国内市場で流通する商品の9割が中国製と言われていた。北朝鮮の金正恩党委員長は、そんな現状を打破すべく、毎年元旦に発表する新年の辞で「製品や原材料の国産化」を訴えてきた。

しかし、あまり順調に進んでいるとは言えなかった。平壌の小学校では昨年、子どもたちが金正恩氏の名前で配給された国内産のお菓子セットが不味すぎるとの理由で、ぶつけ合ういたずらをするという「政治事件」が起きたほどだ。

(参考記事:金正恩氏が配ったお菓子セット、不味すぎて政治事件に発展

中国や韓国の質の高いお菓子の味に慣れ親しみ、舌の肥えた北朝鮮の消費者は、国内の工場で製造されたお菓子をあまり好まなかったが、ついに状況が変わりつつあるようだ。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

平安南道(ピョンアンナムド)の情報筋は、首都・平壌郊外にある平城(ピョンソン)の市場の食品売り場から、中国製のお菓子が姿を消し、今売られているのは国産のお菓子ばかりだと伝えた。

そこには、こんなからくりがある。

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平壌の金カップ体育人総合食料工場は、金正恩氏が何度も現地指導に訪れるなど、優遇されている食品工場だ。それにもかかわらず、同工場の製品のレベルは、グルメな北朝鮮の消費者を満足させるレベルではなかった。

ところが当局は、同工場と慶興(キョンフン)食料工場に鉱物資源を輸出する権利を与え、稼いだ外貨で製品の原材料を輸入できるような措置を与えた。そのような特別待遇のおかげで良質の商品が製造できるようになったというのだ。

平壌の食品工場で作られたお菓子は北朝鮮の国内市場で高級品扱いされるようになったが、突如として強力なライバルが登場した。

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朝鮮中央通信は今年7月26日、金正恩氏が江原道(カンウォンド)の元山(ウォンサン)にある松涛園(ソンドウォン)総合食品工場を視察したと報じたが、この工場も中国から原材料を大量に輸入する権限を与えられ、質の高い製品の生産ができるようになったのだ。

平壌の食品工場が数年前に取得していた食品安全マネジメントシステムに関する国際規格ISO22000を、この工場も今年になって取得した。また、国内の品質認証機関から「2.2烽火」のマークも取得しており、平壌の食品工場の製品よりも良質だというのが、消費者の評価だ。

平壌と元山の食品工場の製品の質を疑うわけではないが、中国製品が閉め出されたのが、公正な競争の結果かどうか定かでない。当局は昨年12月に、中国製品の販売禁止令を出しているからだ。

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国内での評判は上々な国産お菓子だが、国外での売れ行きは芳しくないようだ。

中国丹東に駐在する北朝鮮の貿易関係者は、「平壌と元山の食品工場で製造する製品は、ISO22000を獲得した高級品だ」とし、「少量ながら中国や東南アジアへの輸出を行っているが、北朝鮮製品のイメージが悪く売れ行きはよくない」と述べた。