国務省の報告書が物語るのは、米国はこうした実態を知っているということだ。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)によると、「信仰の自由」を担当する米国務省のサム・ブラウンバック大使は29日、本報告書についての会見の中で「トランプ大統領は北朝鮮の人権問題にとても積極的であるため、米朝首脳会談で北朝鮮の信仰の自由についての問題を提起すると見ている」と語った。
実際のところ、北朝鮮の非核化を最優先するトランプ氏が、首脳会談を壊しかねない人権問題に言及するかどうか、筆者には確信が持てない。しかし、このような人権侵害を知りつつ顔を背けることは、米国の政治家にとっても大きなリスクであることは事実だろう。
(参考記事:あの話だけはしないで欲しい…金正恩氏、トランプ大統領に懇願か)高英起(コウ・ヨンギ)
1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 、 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 、 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。