咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋によると、取り締まりの影響で、ソビ車(個人経営の運送車両)への荷物の積載量に制限が加えられたり、市場で売る品物について保安員(警察官)にあれこれ言われたりするなど、人々の生活に支障が出ている。
このままでは商売の自由を奪われ、餓死しかねないと危機感を感じた人々は、露骨に不満の声を上げるようになっている。
「国が配給をくれるのか、月給を払うのか」
「(商売をして)食べていこうとすることそのものが非社会主義扱いだ」
「何もくれずに締め付けるばかりでは騒擾(デモや抗議)が起こるだろう」
「非社会主義を根絶やしにするといってあれこれ禁止すると、暴動が起きるのは時間の問題だ」
ここから見て取れるのは、北朝鮮の人々の間に、配給制度を放棄した国家に対する幻滅が根強いことだ。北朝鮮ではかつて、生活に必要なもののほとんどを国が配給していたが、1990年代後半の大飢饉「苦難の行軍」の境に配給システムが崩壊してしまった。