金正恩氏は「江南スタイル」が嫌い!? PSYの訪朝に難色

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ソヒョンさんやチョ・ヨンピルさんも韓流スターに違いないが、2人以上に自由奔放なスタイルが売りのPSYさんに、北朝鮮当局は警戒心を強めているのかもしれない。

そもそも北朝鮮の庶民達は歌って踊ることが大好きである。伝統的な朝鮮の民謡に合わせた踊りだけでなく、最近では韓流や海外の音楽に合わせて自己流で激しく踊る女性も少なくない。ある脱北者が、「自分勝手ダンス」として紹介してくれた北朝鮮式のダンスは、頭を激しく振るヘッド・バンキング(!)も当たり前で想像以上に激しくクレイジーだ。

ただでさえ娯楽に飢え、ダンスに踊り狂うことが大好きな北朝鮮の庶民なら、PSYさんの江南スタイルに一気に魅了されてもおかしくはない。だからこそ北朝鮮当局は難色を示していると見られる。

そうでなくても、韓流ドラマを通じて北朝鮮国内の「喜び組スキャンダル」が逆輸入されたこともある。その再現は、北朝鮮当局としてはなんとしても避けたい事態だ。

筆者としては、是非ともPSYさんに訪朝してもらい、平壌で「江南スタイル」を披露してほしい。そもそも江南スタイルはソウル特別市江南区に住む富裕層を揶揄した歌だ。PSYさんに触発されて北朝鮮の中から平壌の富裕層を揶揄する「平壌スタイル」などというパロディが産まれれば痛快極まりない。

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建前の文化交流もいいが、PSYさんを通じて、悪気のない風刺や皮肉の文化が伝わることがあってもいいだろう。いや、それこそが本当の意味での文化交流ではなかろうか。

高英起(コウ・ヨンギ)

1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。

脱北者が明かす北朝鮮 (別冊宝島 2516) 北朝鮮ポップスの世界 金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔 (宝島社新書) コチェビよ、脱北の河を渡れ―中朝国境滞在記