米国に対する非難が完全に止まったわけではないが、目立つのが「制裁」と「人権問題」に関する言及だ。ただし、かつては「戦争行為と見なす」「対抗措置を講じる」などと制裁に対して強く反発していたが、ここ最近は「不法で反人倫的なもの」などと、ソフトな非難にかわった。
金正恩氏が米韓との対話姿勢に転じた理由として、制裁が北朝鮮を追い込んだ成果だという見方が大勢だが、これに反発するかのように「米朝関係の変化は、圧迫・制裁によるものではない」とする論調も目立つ。
筆者は、必ずしも制裁だけで北朝鮮が姿勢を変えたとは思わないが、あえて言及するということは、決定的ではないにしろ制裁がボディブローのように効いているのかもしれない。もしくは「制裁はやめてほしい」という隠れたメッセージかもしれない。
制裁問題に加え、北朝鮮が抱えるアキレス腱は「人権問題」だ。米トランプ政権は米朝首脳会談の話が電撃的に浮上する直前、大統領と副大統領が相次いで脱北者と面談するなどして、北朝鮮圧迫のための「人権シフト」に動いていた。たとえばトランプ氏は、中朝国境での北朝鮮女性の人身売買を「やめさせる」とまで言っている。