ただでさえ男尊女卑の風潮の強い北朝鮮において、家族のもとに逃げ帰ることのできない軍隊は、女性たちにとって地獄も同然に違いない。
ちなみに、空軍将校として12年間勤務したある脱北女性は、自分が受けた性的被害が人権侵害だと気づいたのは韓国に来てからだった。北朝鮮の女性たちは、そもそも「人権とは何か?」という概念すら知らないことから、何をされても「人権侵害」だとは気づかない厳しい現実があるのだ。
(参考記事:ひとりで女性兵士30人を暴行した北朝鮮軍の中隊長)ただ、こうした実情は国民にも広く知れ渡っているようで、親たちは徴兵年齢の子どもを守るのに必死だ。ワイロを使って比較的状態のマシな部隊に所属させ、あるいは仕送りを毎月欠かさないなど、なんとか無事に軍隊生活を終えられるように手を尽くしているのだ。