ただ、北朝鮮は自分が軍事的に弱い時に、対話攻勢に出る傾向がある。2015年8月、北朝鮮側の地雷に韓国軍兵士が接触し、軍事危機が高まったときもそうだった。
当時も北朝鮮は韓国との対話姿勢を示したが、それはおそらく「いま戦っても韓国には勝てない」との判断からだったと思われる。つまり当時の対話姿勢は、核武装を強化するための時間稼ぎに過ぎなかったのだ。
このように見るにつけ、平昌冬季五輪をきっかけにした南北対話の裏で北朝鮮が何を考えているのか、非常に気になるところだ。
(参考記事:米軍が「金正恩斬首」部隊を韓国に送り込んだ)高英起(コウ・ヨンギ)
1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 、 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 、 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。