ところが、北朝鮮はこれに乗らなかった。その理由は、人権問題にある。米国にはブッシュ政権時代に出来た、北朝鮮人権法という法律がある。日本人拉致問題も含め、北朝鮮の人権状況が改善されない限り、米国から北朝鮮への人道支援以外の援助を禁止すると定めたものだ。
恐怖政治で国民を支配する北朝鮮の体制にとって、人権問題は体制の根幹に触れるものであり、交渉のテーブルに乗せることなどできるはずがない。
(参考記事:謎に包まれた北朝鮮「公開処刑」の実態…元執行人が証言「死刑囚は鬼の形相で息絶えた」)人権を重視しているようには思えないトランプ大統領ならば、あるいは、人権問題の面でも金正恩党委員長の立場に配慮した提案を行う可能性もあると思われた。ところが最近のトランプ政権は、それとはまったく逆の方向に動いている。