よく「北朝鮮のナンバー2」であるとするニュースを目にするが、厳密に言って、北朝鮮にナンバー2などというものはいない。権力者は、独裁者ただひとりだ。独裁者の「次」をうかがうような実力者が登場すれば、容赦なく粛清されてしまう。金正恩党委員長の叔父・張成沢(チャン・ソンテク)元国防副委員長がまさにそうだった。
ただ、最近のもろもろの状況を見るに、はやり崔氏が組織指導部長に就いた可能性は高いようにも思える。とすれば近い将来、崔氏が権力の使い方を誤って粛清の憂き目に遭うこともありえないことではなかろう。
(参考記事:「家族もろとも銃殺」「機関銃で粉々に」…残忍さを増す北朝鮮の粛清現場を衛星画像が確認)一方、統一省の資料によると、秘密警察トップである国家保衛相は、金元弘(キム・ウォノン)氏からチョン・ギョンテク氏に交代した。金委員長の統治資金を管理する党39号室のトップは、全日春(チョン・イルチュン)氏からシン・リョンマン氏に代わった。
(参考記事:美貌の女性らが主導…北朝鮮芸術家「ポルノ撮影」事件の真相)高英起(コウ・ヨンギ)
1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 、 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 、 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。