美人タレントを「全身ギプス」で固めて連れ去った金正恩氏の目的

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イムさんには、在留資格のために偽装結婚した中国人の夫がいたが、保衛省の関係者に抱き込まれた夫は、借金と離婚問題の解決に向けて書類の整理をしようとイムさんを呼び寄せた。そこで拉致が行われたようだ。ただし、イムさんがどういうルートでホテルに向かったのか、部屋には入ったのか、また、夫がなぜ保衛省に抱き込まれたかなどについては、今の時点では明らかになっていない。

この関係者は、保衛省がイムさんを拉致するため驚くべき手法を使ったと証言した。

保衛省の要員たちは麻酔を使ってイムさんの意識を失わせ、全身をギプスで固めて動けないようにした上で、第三者の北朝鮮パスポートを持たせ病人のふりをさせて丹東から北朝鮮に入国させたというものだ。

李氏によれば、北朝鮮国内の別の情報源も、上記のような作戦が行われたことを確認した。また、イムさんにパスポートを渡すために、彼女に外見の似た北朝鮮女性が秘密裏に中国に送り込まれたとも語った。ただ、イムさんが北朝鮮に戻ったのは、丹東からではなく、吉林省長白朝鮮族自治県からだとこの情報源は証言した。

入国地点にズレがあることについて、さらに別の関係者は次のような説明をした。保衛省は不測の事態に備え、丹東と長白のいずれのルートでもイムさんを北朝鮮に拉致できるようにしておいたというのだ。結局、当初の予定通りの丹東ルートを使ったとのことだ。

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それにしても、北朝鮮はなぜイムさんを拉致したのだろうか。それには2つの理由がある。

ひとつは、昨年4月8日に起きた北朝鮮レストラン従業員13人の集団脱北事件だ。浙江省寧波市の「柳京食堂」で働いていた女性従業員12人と男性支配人が飛行機に乗って合法的に中国から出国し、わずか2日後の4月7日に韓国に到着したというのが事件のあらましだ。

北朝鮮当局は「かいらい一味(韓国政府)の集団的誘引・拉致蛮行」(2017年2月9日朝鮮中央通信)だとして、家族をメディアに出演させるなどして、執拗に女性従業員の送還を求めているが、韓国政府は黙殺している。

(参考記事:美貌の北朝鮮ウェイトレス、ネットで人気爆発

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イムさんの拉致は、これに対する報復だというのだ。