北朝鮮の漁船(本文とは関係ありません)
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北朝鮮当局が東海岸での漁業に規制をかけたと、咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋が伝えてきた。これによって漁師たちが大打撃を受け、生活苦で自殺する人も出ているという。

「遭難」でイメージ悪化、漁に出るな?

東海岸の漁師たちが漁をする際には保衛部から有効期限が1年の「海出入証」を受け取らなければならない。ところが去年は賄賂を使っても交付されなかった。

背景には、昨年北朝鮮漁船の漂着事故が多発していることが関係しているようだ。北朝鮮漁船が遭難して韓国に漂着することによる「イメージ悪化」を防ぎたいという当局の判断だ。

【参考記事】北 イカ漁業で122人死亡・失踪

内部情報筋は以下のように伝える。

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「咸鏡北道など東海岸沿岸に住む人々の暮らしは、かつてなかったほど困窮している。区域保衛部と沿岸警備隊が昨年のイカ漁とハタハタ漁を規制したからだ」

絶望で自殺、一家心中多発!

咸鏡道(ハムギョンド)と江原道(カンウォンド)の沿岸地域に住む人々のほとんどは6月から始まるイカ漁とハタハタ漁で生計を立てている。この時期に1年分の食糧を確保するのだ。しかし、漁に出られず生きていけないので自ら命を断つ人々が出ている。

「中国のはえ縄漁船が乱獲していても、タコ漁の季節の6月から10月まで100回以上は漁に出ていたが、去年はせいぜい5回ぐらいしか出られなかった」

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「金を稼ぐために高利貸しからお金を借りたり家を売り払ったりして、小さな漁船とエンジンと網を買ったのに、漁に出られず大損している」

「借金取りに厳しく取り立てられた上に、家まで差し押さえられてホームレスになった人もいる。絶望のあまり自殺や一家心中が数十件発生している」

「新年に入って清津(チョンジン)市の役所と人民班長が地域住民の家を回って『うちはいかなる場合でも自殺しない』という念書を取っている」

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「人々は『自殺しないと念書を取ったところでどうなる? 漁をやらせろ』『民間人の漁はやらせず軍の漁船だけ漁に出て大儲けしている』と不満を口にしている」(内部情報筋)

ちぐはぐな漁業政策に苦しむ漁師たち

金正恩氏は昨年11月、軍傘下の水産事業所を現地指導して「成果を見習うように」と訓示を下している。労働新聞も「魚の大風で黄金の海の新しい歴史を繰り広げよう」と題した社説を掲載して漁業の盛り立てに乗り出している。

【参考記事】労働新聞「漁獲量増大を目指せ」

その一方で、国の政策に反するような今回の措置。ただでさえ中国漁船の乱獲で漁獲量が減っていたのに漁業関係者からすれば泣きっ面に蜂だ。

北朝鮮当局のちぐはぐな方針のせいで東海岸の漁師たちの苦悩は続きそうだ。

【参考記事】 中国漁船が乱獲「金正日のせいでイカ漁に大打撃」