「みすぼらしい住宅」映像を外国に流した北朝鮮男性の悲惨な末路

北朝鮮当局が、脱北者家族への送金受け渡しの様子や粗末な住宅内部を撮影して外部に渡したとして、両江道・恵山市の送金ブローカー1人を「政治犯」として処罰していたという。違法送金の事実よりも、住民の生活実態が映り込んだ映像を国外に流出させ、体制のイメージを損なったことが重大視されたという。

デイリーNKの両江道の消息筋によると、送金ブローカーとして活動していた恵山市の住民A氏が今年1月、管理所(政治犯収容所)に移送された。

A氏は昨年9月、ある脱北者の家族に資金を届け、その受領を証明する目的で映像を撮影し、送金の依頼者に送って取引を完了させた。

問題が表面化したのは、A氏が別の脱北者家族におカネを届ける過程で保衛部に逮捕されたことがきっかけだった。保衛部がA氏の中国製携帯電話を調べる中で、削除されていた過去の映像を復元したのだ。

復元された映像には、脱北者家族がおカネを受け取る場面だけでなく、粗末な住宅の内部の様子が映っていた。さらに、室内に掲げられていた故金日成・故金正日の肖像画も映り込んでいたとされる。保衛部は「国家の体面を傷つけ、首領の権威を損なう明白な意図があった」としてA氏を厳しく追及したと伝えられている。

(参考記事:金正恩氏の「高級ベンツ」を追い越した北朝鮮軍人の悲惨な末路

加えて、A氏が情報流出の経路として当局が強く取り締まっている違法な中国製携帯電話を使用していたうえ、それを通じて敵国と位置付ける韓国と連絡を取っていた形跡まで確認されたことから、当局はこれを単なる生計型犯罪ではなく、重大な政治犯罪として扱ったとみられる。

北朝鮮は2023年末の朝鮮労働党全員会議で南北関係を「敵対的で交戦中の二国家」と規定して以降、韓国との接触行為への処罰を強化しており、こうした内部の政治的空気も今回の厳罰判断に影響したとみられる。