北朝鮮で、軍事境界線に近い最前線部隊への志願を高校卒業予定者に事実上強要する動きが各地で広がっている。米政府系の放送局、ラジオ・フリー・アジアが20日までに、内部消息筋の話として伝えた。

最前線部隊は山岳地帯に位置し、訓練の厳しさや生活環境の劣悪さで知られる。

同放送によると、咸鏡北道の住民は18日、「当局が卒業を控えた高級中学校(高校)生に対し、最前線部隊への志願を強く求めている」と証言。各地域で卒業学年の生徒全員を対象とした「志願決意集会」が相次いで開かれているという。

これらの集会は青年組織が主導し、幹部による報告や「志願」をテーマとした討論、さらに体制を称賛する歌の合唱などで構成される。討論内容も事前に検閲され、当局の意図に沿った発言が行われるよう誘導されているとされる。

また、集会には地方幹部や退役軍人に加え、海外軍事作戦(ロシア派兵)に参加した兵士の母親らも参加。生徒らに対し、戦死者の忠誠心や愛国心を見習うよう訴える場面も確認されているという。

(参考記事:北朝鮮「骨と皮だけの女性兵士」が走った禁断の行為

別の平安北道新義州市の住民も19日、「同様の志願・祝賀集会が連日開かれている」と証言。数日前に開かれた集会では、市の幹部や退役軍人とともに、海外派兵経験を持つ兵士の母親が登壇し、最高指導者である金正恩氏の命令を命懸けで遂行した兵士の精神を受け継ぐよう訴えたという。

一方で、こうした動きに対する住民の受け止めは複雑だ。消息筋は「当局の圧力で志願したとしても、親の立場では子どもを最前線に送りたくない」と述べ、動揺が広がっている実態を明らかにした。