中東情勢の緊張が高まる中、イランのミサイル・ドローン攻撃に直面している アラブ首長国連邦(UAE)が韓国製防空ミサイルの早期引き渡しを求めている問題で、韓国政府が慎重姿勢を崩していないことが分かった。国内では「武器輸出国としての信頼を損ないかねない」として、契約履行を優先すべきだとの声が強まっている。
UAEは2022年、韓国製中距離地対空ミサイルシステム Cheongung(天弓)II (KM‑SAM Block 2) を約35億ドルで導入する契約を締結した。だが、最近の中東情勢の悪化でイランからの弾道ミサイルによる攻撃を受けたことから、残る装備の納入を当初計画より前倒しするよう韓国側に求めているとされる。しかし韓国政府は、生産能力の制約や韓国軍の配備計画との調整を理由に、納期の前倒しには慎重な立場を示している。政府関係者は「輸出契約の履行は重要だが、国内の防空態勢とのバランスも考慮する必要がある」と説明する。
こうした姿勢に対し、韓国国内では防衛産業界や専門家を中心に懸念の声が広がっている。防衛産業関係者は「契約国が実際に攻撃を受けている状況で支援を渋れば、韓国の武器輸出に対する信頼性が疑問視されかねない」と指摘する。(参考記事:ポーランドはなぜ韓国製潜水艦に背を向けたのか)
韓国は近年、ポーランドや中東諸国などに武器輸出を拡大し、世界有数の防衛装備輸出国を目指している。とりわけUAEとの防空ミサイル契約は韓国防衛産業にとって象徴的な案件とされるだけに、今回の対応が今後の輸出競争に影響する可能性もある。
