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北朝鮮の憲法には、次のような規定がある。

第60条
国家は人民と人民軍将兵を政治思想的に武装させる基礎の上に、全軍幹部化、全軍現代化、全民武装化、全国要塞化を基本内容とする自衛的軍事路線を貫徹する。

これに基づき、各地に労農赤衛隊、赤い青年近衛隊などの準軍事組織が存在する。普段から軍事訓練を行い、有事の際には、農機具を武器に持ち替えて敵と戦うのだ。だが、その武器を別の使い方をしたことが大問題になっている。平安北道(ピョンアンブクト)のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

大館(テグァン)郡の民防衛隊長が先月27日、野外訓練を行っている最中に、隊員を率いて山に入っていった。そして、訓練用の武器で「敵」を撃ち殺した。これが、朝鮮労働党大館郡委員会(郡党)組織部に摘発され、大問題となっている。

その「敵」とはイノシシだった。

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チュチェ(主体)的に民防衛武力で「全民武装化、全国要塞化」を成し遂げるべき民防衛の隊長が、武器を私的目的で流用したことは、金正恩総書記の安全に関わる問題に直結する重大な問題だとの主張が提起された。

この件は、上部組織の朝鮮労働党平安北道委員会(道党)にも報告され、民防衛部門のイルクン(幹部)が集まり、緊急会議が開かれた。その場では、同様の事件の再発を防ぐための対策が議論され、武器、弾薬の管理や取り扱いの実態についての調査を行うことを指示した。

北朝鮮当局は、2004年4月に龍川(リョンチョン)駅で貨物列車が爆発し、甚大な被害が発生した事件について、金正日総書記に対する暗殺未遂事件と認識している。そして、平安北道は金日成時代から反体制勢力が潜む危険地域と見られており、道や新義州市の党委員会の人事に相当慎重になっている。

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「訓練に参加した隊員と共に、美味しいものを食べて楽しい時間を過ごそうとしていた民防衛隊長のちょっとした逸脱行為が、最高指導部に脅威となりうるという、とてつもない政治的問題へと発展した」(情報筋)

(参考記事:暗殺狙うスパイ団を摘発…金正恩氏が警戒する「国内の敵」

また、タイミングも非常に悪かった。

今年1月に開催された朝鮮労働党中央委員会第8期第30回書記局拡大会議で、槍玉に上げられた慈江道(チャガンド)の雩時(ウシ)郡や南浦(ナムポ)市の温泉(オンチョン)郡での不正行為に対して、金正恩氏は激しく批判しており、雩時郡の幹部ら10人が公開処刑されたとの情報もある。

(参考記事:北朝鮮の15歳少女「見せしめ強制体験」の生々しい場面

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各地の幹部は、いつ何時自分のクビが飛ぶかもしれないとビクビクしており、そのせいで過剰とも言える対応となった。

「最近、党指導部の報告で、下級幹部が政治的問題に巻き込まれ、人生が終了するケースが増えており、不安が広がっている。今回の事件も、ここまでの大問題に発展したのだから、首謀者の民防衛隊長は単なる批判や革命化(下放)で済まされる可能性は低いだろう」(情報筋)

軽く済まされても教化所(刑務所)行きは免れず、最悪の場合は見せしめのために処刑される可能性すらある。

(参考記事:北朝鮮女性を追いつめる「太さ7センチ」の残虐行為

道党は、各地域の党委員会に、民防衛部隊で蔓延している規律違反に警戒心を持ち、秩序を再確立するように強く要請した。また、武器や弾薬の管理規程を徹底して守る問題を中心に、点検を行うよう付け加えた。