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容貌や肌の色だけで外国人=犯罪者予備軍と判断し、職務質問を行う「レイシャル・プロファイリング」。明確に定義され、人種差別だとの激しい批判の声が上がったのはアメリカでのことで、海の向こうだけの話ではない。

東京弁護士会が2022年に行った調査によると、何ら不審事由がないのに警察官から職務質問を受ける経験を過去5年で受けたかという問いに、回答者の62.9%が「ある」と回答した。

今年1月には外国出身の2人、両親が外国出身で日本国籍を持つ1人がこのような職務質問は差別だとして、国、東京都、愛知県を相手取り訴訟を起こした。その過程で、愛知県警が2009年に作成した、一見して外国人と見える者、日本語を話さない者は必ず何らかの不法行為を行っているなどとする、教育用内部資料の存在も明らかになっている。

職務質問が問題になっているのは、北朝鮮とて同じだが、別の意味で非常に悪質だ。

首都・平壌郊外にある平城(ピョンソン)にある安全部(警察署)の政治学校(新人警察官を教育する学校)が現在、来年春に卒業を控えた生徒の現場での実習を行っているが、これが市民の不興を買っている。

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平安南道(ピョンアンナムド)のデイリーNK内部情報筋によると、実習は9月13日から始まり2カ月続く予定で、生徒たちが通行人を呼び止めて質問し、荷物検査を行う。まだ正式の安全員(警察官)ではなく、私服姿で行っている。これが、市民からの評判がともかく悪い。

「生徒たちは、大通りや市場周辺で市民の一挙手一投足を監視し、自転車に乗っている人を捕まえて、荷物検査を行う。それが度を超えていて市民の不満を引き起こしている」(情報筋)

(参考記事:手錠をはめた女性の口にボロ布を詰め…金正恩「拷問部隊」の鬼畜行為

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その日暮らしをしている露天商から品物を没収したり、罰金を取り立てたり、黙認する代わりにワイロを取り立てたりと、先輩安全員の手口を見事に踏襲しており、市民が非難を浴びせかけている。

(参考記事:ワイロでなし崩しにされる北朝鮮の「イナゴ商人掃討作戦」

平城市安全部は流石にまずいと思ったのか、生徒たちにこのような指示を下した。

「状況に応じて融通を利かせろ」

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これには、次のような意味が込められている。

「上納金(ワイロ)を払えば実習は免除する、家で休んでいても構わない」

安全部の未来を担う若者に裏金を要求するのは、拝金主義社会である北朝鮮らしいやり方だが、そんなカネを払えるのは、実家の太い者だけだ。貧しい家の出の生徒たちにとってこの指示は、庶民を熱心に取り締まり、ワイロを巻き上げて、そこから上納金を払えという意味になってしまう。どう転んでも、安全部の幹部の懐は潤うという仕組みだ。

(参考記事:「アダルトビデオ」密売の元締めは警察官…金正恩が「体制守護」を叫ぶ北朝鮮社会の内部事情

情報筋は、怒れる市民の声を伝えた。

「安全員の本分は人民の安全、財産を守ることなのに、むしろ人民を苦しめ、財産を奪っている。これでは強盗と何が違うのか」

「日帝時代(日本の植民地時代)の巡査ですらここまではしなかった」(平城市民)

(参考記事:北朝鮮女性を追いつめる「太さ7センチ」の残虐行為

警察官の卵に「ワイロの取り方」を教え込む北朝鮮の警察機構が、市民の人権や私有財産を守れるわけがないのだ。いや、彼らのそもそもの存在理由は市民のためではなく、金正恩総書記やその一家を守ることにある。