年末の北朝鮮では、1年を振り返る総括の年末総和が行われた。その場を通じて、若者の思想統制を強めたいというのが当局の目論見だ。
反動思想文化排撃法、青年教養保障法、平壌文化語保護法の「反韓流三法」で締め付けを強化し、違反者を処刑するなど様々な手を尽くしているが、若者の心は国や朝鮮労働党、金正恩総書記から離れていくばかりか、むしろ反感が生まれている。
その現状を、咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋が伝えた。
年の瀬を迎え、道内の朝鮮労働党の各市、郡の委員会は、若者を対象に思想を締め付ける取り組みを行ったが、彼らは従うどころか、むしろそれに反する行動を行っている。
取り締まりを強めれば強めるほど、若者はそんな環境に適応してしまい、「どうせそのうち終わるだろう」と受け止めているため、取り締まり強化は意味がないと情報筋は見ている。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面「新法ができて違反者の銃殺を目撃したのにもかかわらず、若者たちは『世界のトレンドに合わせて生きていこう』と南朝鮮(韓国)のドラマや映画で見たものを真似している」(情報筋)
教化所(刑務所)や管理所(政治犯収容所)送りになった人も少なくないが、それでも若者たちは韓国に憧れを持って、韓ドラで見たファッションや言葉を真似しているのだ。たとえ取り締まり強化で、韓ドラの視聴が困難になっても、以前見たものが北朝鮮の文化を変えつつあるのだ。
(参考記事:金正恩命令をほったらかし「愛の行為」にふけった北朝鮮カップルの運命)
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面韓国の影響は若者に恋愛にも影響を与えている。公の場で手を繋いで歩いたり、「路チュー」つまり、路上でキスしたりする若者ももはや珍しくない。上の世代には到底考えられない、故金日成主席と故金正日総書記の銅像のある広場でデートをするという「不敬」も、若者にはもはや当たり前のことだ。
上の世代の考え方も徐々に変わり、以前なら路上でのキスを見かけたら赤面していたが、今では「自分たちの若い頃とは随分変わったね」と通り過ぎるだけだ。
(参考記事:金正恩一家の「聖地」で愛の行為にふける北朝鮮カップルたち)また女性が年上のカップルも増えた。当事者男性のAさんは次のように語っている。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面「南朝鮮や米国のドラマを見ると、年齢とは関係なく恋愛も結婚もしているのに、わが国(北朝鮮)はなぜ年上の女性は恋愛の対象にならないのかと思っていた。しかし、幼馴染の6歳年上のお姉さんが、女性に見えるようになって付き合うようになった」
当初は「頭でもおかしくなったのか」と交際に反対して激しく罵っていた両親も、今ではすっかり受け入れてくれたという。この数年で、女性が年上のカップルが増え、親の世代も新しい現象として受け止める空気となっている。