ロシア軍は最近、北朝鮮から提供された砲弾の低品質ぶりに頭を悩ませていると、ウクライナの軍事情報サイト、ディフェンス・エクスプレス(DE)が9日付で報じている。
DEは、ロシア系のテレグラムチャンネルを引用しながら、精度が低く飛距離にもバラつきがある北朝鮮製の砲弾をロシア軍が無作為に点検したところ、火薬の量が一定ではなく、さらに砲弾内部のあるべき場所に銅線がないものがあったという。
DEによれば、ロシア軍は同一の表示がある砲弾5発を無作為に抽出して点検を行った。すると、それらの砲弾には異なる種類の火薬(発射薬)が使われており、火薬の束の重さも一定ではなかった。
DEが掲載した写真を見ても、砲弾内の火薬(発射薬)の色の違いが歴然だ。
また、砲弾内部にあるはずの銅線がない砲弾が存在し、一部の砲弾は密封キャップをこじ開けた跡が見つかったという。DEは、北朝鮮の工場労働者が、市場で売り払うため銅線を盗んだのだろうと指摘している。
さらに、火薬の質が一定ではないのは、それぞれ違う工場から供給された火薬だからだろうとしながら、品質より量を重視する計画経済が生んだ結果だと述べている。
DEによれば、このように品質が一定でない砲弾は精度が落ちるため、戦闘においてより多くの砲弾を使用せざるを得ず、そうなると砲弾の消費が増えるだけでなく砲撃時間が長くなり、敵に砲兵部隊の位置が露出する危険性も高くなるという。
また、砲弾の消費が増えるほど砲身の摩耗が加速し、砲撃の精度が低下し、弾薬の使用量が再び増える悪循環に陥るとしている。
北朝鮮は122ミリ砲弾と152ミリ砲弾、125ミリ戦車砲弾などを少なくとも数十万発、最大で100万発をロシアに提供したと見られているが、こうした不良品がどれくらいの割合を占めるかは不明だ。
(参考記事:「気絶、失禁する人が続出」北朝鮮、軍人虐殺の生々しい場面)
いずれにせよ、ロシアは北朝鮮に苦情を言っていることだろう。金正恩総書記のメンツがつぶれるようなことになれば、軍需部門に血の雨が降ることになりかねないだろう。