金正恩「網タイツ禁止令」で北朝鮮女子の命がけファッション

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北朝鮮は、4月としては異常な高温に見舞われている。国営朝鮮中央テレビによると、2日の最高気温が平壌で25.5度、平城(ピョンソン)で26.2度、新義州(シニジュ)で22.9度など、この季節としては観測史上最高の気温を記録した。一方、本来なら海流の関係で温かいはずの東海岸では、最高気温が12度から19度と、平年並みとなっている。

人々の服装も春から初夏のものに変わったが、咸鏡北道(ハムギョンブクト)の清津(チョンジン)市内では、社会主義生活様式に合った正しい服装と髪型をするようにと、市民に対する取り締まりが行われている。現地のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

社会主義愛国青年同盟(青年同盟)の糾察隊(取り締まり班)は、道の至るところで、服装検査を行っている。摘発されれば理由を問わず、労働鍛錬隊(軽犯罪者を収監する刑務所)送りにされる。

取り締まりの理由というのは、このようなものだ。

「依然として一部の若者たちが、ブルジョア思想と資本主義遊び人風に染まり、高尚ではない服装と異様な髪型をしている。取り締まりの対象になったら批判書で終わらず、法的処罰が下されるということを思い知れ」

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こうした取り締まりは昔から行われているのだが、金正恩氏が2017年12月に行われた朝鮮労働党第5回党細胞委員長大会での演説で「非社会主義的現象を根絶やしにせよ」と指示してから、いっそう強化された。

この指示を受け、党や行政機関の幹部を集めて行われた政治講演会では、網タイツや花柄のストッキング、アルファベットのプリントされたTシャツの着用などといった「社会主義気風を乱す退廃的な服装」をした者を厳罰に処すと明らかにされている。

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情報筋によると、清津市内では先月末、ある20代の女性が体のラインがわかるような服を着ていたとの理由で摘発された。しかし、労働鍛錬隊送りにされることはなかった。ワイロを掴ませたからだ。その額は1000元(約1万9400円)。北朝鮮においては決して少ない額ではないが、食糧難の中でファッションに気を使えるほどの余裕がある人なら、出せなくはないだろう。

「以前は青年同盟に呼び出されて数枚の批判書を書けば終わりだったが、今は労働鍛錬隊送りにすると警告しているため、自然とワイロの話が出てくる」(情報筋)

もし労働鍛錬隊送りにされれば、早期に釈放してもらうのに必要なワイロが高く付くため、その場でカネを渡して済ませた方が安いのだという。糾察隊員もそんな事情を知っているため、ワイロ目当てで取り締まりを厳しくする。

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若者たちは「ファッションに思想があるとでもいうのか。自分で代金を払って買った服なのに自由に着れず鍛錬隊に行くなんて息が詰まる」と、ファッションを楽しむためならワイロが欠かせない国が他にあるのかと嘆いていると、情報筋は伝えている。

(参考記事:【北朝鮮国民インタビュー】若者への思想統制強化は反発を呼ぶだけ