北朝鮮で、運搬中だった大量の金塊が強奪されるという、前代未聞の大事件が発生した。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。
平安北道(ピョンアンブクト)の情報筋によると、事件が起きたのは11月の中旬のこと。中国と国境を接する新義州(シニジュ)から首都・平壌に向かう国道1号線で、車両が3人の強盗に襲われた。
車に積まれていたのは、党中央に納められる予定だった金塊200キロ。今月2日の日本での価格で約17億3670億円相当だ。車には2人の武装した軍人が乗っていたものの、強盗になすすべもなく制圧されてしまった。そのことから、一味は軍で特殊訓練を受けたものと推測されているという。
事件を受けて国家保衛省(秘密警察)と社会安全省(警察庁)は、道内にいる軽歩部隊(特殊部隊)出身の除隊軍人を対象に、事件当日どこで何をしていたかについて調べたが、いずれもアリバイが成立したようで、犯人像すらつかめていない。
新義州一帯には、国家保衛省と社会安全省の調査組が派遣され、大騒ぎとなっている。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面道内には、定州(チョンジュ)と雲田(ウンジョン)に金の精錬所があり、ここで生産された金塊は、ほとんどが朝鮮労働党の資金を管理する39号室に、一部は朝鮮中央銀行に送られる。
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一方、両江道(リャンガンド)の情報筋によると、恵山(ヘサン)一帯にも、国家保衛省と社会安全省、国境警備司令部の調査要員が派遣され、強奪された金塊が中国に密輸出されないか警戒している。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面市内の人民班(町内会)には、「金を所持していたり、金の密輸船を見かけたりしたら即時通報せよ」とのビラが回された。
それを見た住民は、「朝鮮労働党が人民生活を顧みず、国中の金を独占しているから、何者かが命がけで党中央に送られる金を強奪したのだ」と鼻で笑っているとのことだ。
北朝鮮に存在する一切のモノは、独裁者である金正恩総書記の思いのままになると言って過言ではないが、中でも金は最たるものだ。北朝鮮にあるすべての金は事実上、金正恩氏の所有物なのだ。
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そのため、個人が金を所有・売買することは一切禁じられており、違反者は死刑を含めた重罪に処せられる。しかし極めて儲けが大きいことから、命がけで金の密売、密輸に手を染める者が跡を絶たない。
(参考記事:金正恩の「財宝」を盗み続けた犯罪グループの残酷な末路)