北朝鮮北部の中国との国境地域、慈江道(チャガンド)の慈城(チャソン)郡に国境警備強化のため派遣された特殊部隊・暴風軍団(第11軍団)のある中隊で、実弾が込められた弾倉を紛失する事件が発生し、大問題になっていると現地のデイリーNK内部情報筋が伝えた。
情報筋によれば「なくなったのは、空砲3発と実弾7発の計10発が入った弾倉1個と空の弾倉3個。軍団後方部から検閲組が急派され、中隊兵舎や訓練場、武器庫、兵士の生活全般を検閲している」という。
情報筋によると、部隊が弾倉紛失を認知したのは今月16日のことだった。暴風軍団指揮部は今月中旬、国境に臨時投入された隷下の大隊、中隊に装備類の点検を指示したが、軍団兵器部の立ち合いの下に行われた点検作業の結果、弾倉4個の紛失が確認されたという。
これを受け、まず当該中隊が独自に捜索を行ったが、見つけることができず、上層部に報告。平安南道(ピョンアンナムド)の徳川(トクチョン)にある暴風軍団指揮部から検閲組が急派されたとのことだ。
18日に現地入りした検閲組は、当事者10人余りを拘束し、彼らが普段、出入りしていた民間人宅も捜索した。調査の過程で特に問題視されたのは、当該中隊が相当期間、弾倉の紛失に気付いていなかったことだという。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面情報筋は「コロナ国境封鎖から2年以上、現地に派遣された暴風軍団は、任務から食糧調達までをすべて自力で解決しなければならない状況にあった。将兵の負担は多大なもので、そのため装備類の管理が疎かになったのだろう」と話した。
実際、暴風軍団の兵士らは空腹から民家を襲撃するなどして、現地住民からも反発を買っている。
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人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面情報筋はまた、「上から点検の指示がなかったら、部隊は現地から撤収するまで気づかなかっただろう。検閲組は兵士らに睡眠を取らせない心理顧問や殴打まで加えながら取り調べているが、いつどのようになくなったのかさえ判然としない弾倉の回収はおぼつかないだろう」と述べた。
こうした状況から、検閲組は軍団指揮部の内々の指示を受け、兵士が任務遂行中に弾倉を鴨緑江に落としたことにして、事件の静かな幕引きを図っているという。紛失した弾倉が見つからない理由を、無理やり作り出しているのだ。
従来、北朝鮮軍ではこうした事件が起きた際には、より徹底した究明作業が行われてきた。なぜなら武器類の紛失は「革命の首脳部」――すなわち金正恩総書記の身の安全に直結する問題だからだ。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面それはつまり、体制に反感を抱き、テロに走りかねない「不純分子」が国内にいる可能性を認識しているということでもある。
だが現実は、そんなことはさておき、面倒な事件の幕引きを急いでしまうほどに、北朝鮮の軍紀はゆるみ切っているということなのかもしれない。