金正恩も後悔か「見せしめ射殺体」の衝撃場面

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北朝鮮の金正恩総書記が、またもや世界の注目を集め始めている。今年に入り、すでに7回にわたってミサイルを発射。30日に打ち上げられたものは到達高度2000キロ、飛距離800キロに達し、中距離弾道ミサイル以上の性能と見られている。

北朝鮮の動向は新型コロナウイルスの世界的な流行が始まって以来、極めて静かなものだった。医療・保健体制の脆弱さから、ひとたび国内で大流行となれば、体制が倒れかねないことを自覚してのことだ。

ではなぜ、コロナが収束してもいない今、またもや武力示威を強めているのか。理由はひとつではないだろうが、金正恩氏は、再び核とミサイルに世界の注目を集める必要を感じ始めたのではないかと、筆者は見ている。

この間に発足した米バイデン政権は、台湾問題(対中国)やウクライナ問題(対ロシア)に忙殺されており、北朝鮮に目を配る余裕がない。というよりも、韓国などとの戦争を準備しているわけではない北朝鮮のことを、心配する必要すら感じていないのかもしれない。

そのような状況下では、米政権は自然と北朝鮮に対して「原則論」を繰り返すことになる。そしてその原則論には、①非核化せよ②人権侵害を止めよ――以上の2つの柱がある。

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これらのうち、米国にとって最優先は非核化だ。自国の安全保障に直結するからだ。人権問題は文字通り原則論で、米国が本気で北朝鮮の人権状況の改善を急ぐことは当分ない。

それでも、ことあるごとに米国は北朝鮮の人権問題に言及する。それが積み重なり、自らに対する人権包囲網が強まるのを金正恩氏は何よりも嫌う。核兵器はいったん作っても、非核化に応じれば国際社会の評価は変わるが、すでに犯してしまった人権犯罪は、決してなかったことにならないからだ。

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北朝鮮はコロナ対策で国境を封鎖して以降、中朝国境に近づく者があれば無警告で銃撃するよう国境警備隊に命じていた。実際、少なくない人々が銃撃を受け、命を落とした。中には遺体がすぐに収容されず、見せしめのため放置されていたケースさえあった。

しかし今月に入り、北朝鮮当局はこうした方針を軌道修正している。実弾ではなく照明弾で警告するよう、現場に指示が下されたのだ。その理由として当局は、「人民の政府に対する反感を高め、対外的にも国のイメージを乱すため」と説明しているという。

実際、北朝鮮の過酷なコロナ対策は、国際社会から「人権侵害だ」と非難されてきた。それにまったく耳を貸さず、わが道を行っているように見えた金正恩氏も、実は国際世論を気にしているのかもしれない。

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ここへ来てのミサイル連射は、純粋に軍事的な目的があるのかもしれない。ただ金正恩氏の頭の中では、「何もしていなくても(人権問題で)非難されるなら、核やミサイルで非難(と注目)を浴びた方がマシだ」という判断も、いくらかは働いているのではないだろうか。