2カ月で700人処刑も…金正恩が追い求める自己満足

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「為民以天」――民を以って天と為す、というこの言葉は、「人民大衆中心のウリ(我々)式社会主義」を標榜してきた北朝鮮が、ずいぶん前に掲げていたモットーだ。金正恩総書記は12日に閉幕した朝鮮労働党第8回大会で、党のスローガンとして改めて打ち出した。

北朝鮮の政治経済が、本当に人民大衆中心で回っていくなら喜ばしいことだ。国家が人民の声に真摯に耳を傾ければ、深刻な人権侵害は改善に向かう。人民の声が政治に届くようになれば、ある程度の民主化が実現する。

その過程で、核問題の緊張も緩和が望めるかもしれない。人民が経済発展を強く望めば、国家は制裁緩和のため米国との対話で妥結を探らざるを得なくなるからだ。

しかし残念ながら、そのような状況は生まれそうにない。韓国紙・東亜日報記者で脱北者であるチュ・ソンハ氏によれば、北朝鮮では昨年、新型コロナウイルス対策の防疫措置が敷かれた昨年2月以降、防疫ルール違反の罪により、たった2カ月間で700人を処刑したという衝撃的な情報を明かしている。同国の新型コロナ対策は、人民の生命を守るより体制の安定を優先しているということだ。それだけではない。北朝鮮は危機に直面するたび、恐怖政治で社会の統制を強めてきたが、今回も同様の現象がうかがえる。

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改めて言うまでもないことかもしれないが、金正恩氏が言う「為民以天」は掛け声だけのものだ。北朝鮮の論理では、国家が繁栄してこそ人民の暮らしも守られる、ということなのだろう。問題は、人民がどんなに犠牲をはらっても、いつまでたっても国家の繁栄がやってこないことだ。

朝鮮労働党第8回大会で採択された決定書「朝鮮労働党総書記の選挙について」では、金正恩氏の業績が次のように称えられている。

「卓越かつ洗練された指導で短い歴史的期間に、わが共和国の総合的国力と地位を最上の域に押し上げる民族史上、最も特筆すべき業績を積み上げた」

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戦略核兵器の完成と、史上初の米国との首脳会談実現を指したものだろうが、「共和国の総合的国力と地位」が最上に達したのに、人民は経済難や自然災害に苦しんでいる。達せられたのは、祖父や父と肩を並べた、あるいは「超えることができた」という金正恩氏の「自己実現」だけではないか。