窮地の文在寅に「反日同盟」の危険な誘惑

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今月5日から行われている北朝鮮最大の政治イベント、朝鮮労働党第8回大会に関しては今のところ、次のような点が注目されていると言える。

・金正恩氏が総書記に就任した
・北朝鮮が核兵器開発をより強力に推進していくことが鮮明になった
・アメリカを最大の敵と呼び、敵視政策の撤回を迫った
・金与正氏が少なくとも肩書の上で降格された
・金正恩氏が経済制裁の失敗を率直に認めた

いずれも深く分析する価値のある、興味深い要素だ。ただ筆者としてはさらに、次の点に興味をひかれた。金正恩氏は党中央第7期活動報告で、韓国との南北関係について次のように述べている。

「北南関係の現実態は、板門店宣言の発表以前の状態に逆戻りしたと言っても過言ではなく、統一という夢はよりはるかに遠のいた。(中略)

(南朝鮮は)先端軍事資産の獲得や開発の努力を加速化すべきだの、すでに保有している弾道ミサイルや巡航ミサイルよりも正確で、強力で、遠くまで飛んでいくミサイルを開発するようになるだろうだの、世界最大水準の弾頭重量をそなえた弾道ミサイルを開発しただのと言った執権者の発言から説明すべきであり、引き続く先端攻撃装備を搬入する目的と本心を納得できるように釈明すべきである」

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北朝鮮が韓国の軍備増強を非難するのは以前からのことだ。とくに、北朝鮮の力では対応しようのないステルス戦闘機の導入には神経を尖らせている。ただ、これまではそうした韓国の行動を非難しながらも、「納得のいく説明をしろ」とは言わなかった。筆者の記憶では、これが初めてだと思う。

字句通りに読むなら、韓国が筋の通った説明をすれば、北としては納得する余地があるということだ。外交面でも内政面でもほとんど成果がなく、支持率急落の窮地にある文在寅政権としては、これを糸口に南北対話の復活を考えてもおかしくない。

問題は、自国の軍備増強の目的をどのように説明するかだ。現政権の北に対する姿勢がどうあれ、韓国軍は歴史的に北朝鮮を「主敵」として軍備を整えてきた。また、米国の同盟国である以上、ロシアと中国は、少なくとも間接的には仮想敵だ。

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しかしそんな説明をしたら、南北関係がいっそう壊れるのは言うまでもない。そもそも距離的に遠い韓国とロシアは安全保障上の摩擦がほとんどなく、友好関係を維持している。中国とも友好関係にあるが、在韓米軍のTHAAD(終末高高度防衛ミサイル)配備問題を巡っては、中国から事実上の経済制裁を食らった。「中国を念頭に軍備を増強している」などと言ったら、何をされるかわからない。

消去法で残るのは、日本だ。実のところ、文在寅政権になって以降の韓国の軍備増強は、あからさまに日本を意識している。

(参考記事:「日本の空軍力に追いつけない」米国と亀裂で韓国から悲鳴

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無論、文在寅政権とて北朝鮮に対し、「日本に対抗するためだ」などと軽々に言えるわけもない。韓国と日本は今なお、米国を介して間接同盟の関係にあるのだから。

しかし金正恩氏としては、文在寅政権が上述したような問いへの答えを迫られれば、このようにしか答えようがないと踏んでいるのではないか。そして、政権維持に窮してそのような誘いに乗るようなことになれば、韓国は米国を中心とする世界的な陣営の中で、いよいよ立場を悪くすることになるだろう。

(参考記事:韓国専門家「わが国海軍は日本にかないません」…そして北朝鮮は