「最愛の女性パイロット」金正恩の眼前で墜落死か…「英雄化」準備に着手

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北朝鮮で初めて女性として超音速戦闘機のパイロットになったリム・ソルさんが昨年11月、戦闘飛行訓練中の墜落事故で死亡したと、デイリーNKの内部情報筋が伝えてきた。

平壌市の情報筋は6日、韓国デイリーNKに対し、「元帥様(金正恩党委員長)の現地指導の際、模擬戦闘飛行を行ったことのあるリム・ソルが昨年11月中旬、搭乗機の墜落爆発事故で死亡した」と伝えた。

「事故の瞬間」映像も

リム・ソルさんは2014年11月、同僚のチョ・グムヒャンさんとともに、金正恩氏の前で飛行訓練を行ったことが、北朝鮮メディアで大々的に紹介された。朝鮮中央通信によれば、金正恩氏はこの際、「わずか数カ月前に女性追撃機飛行士養成の課題を与えたが、今日、このように立派に成長した女性追撃機飛行士たちの勇敢無双の訓練ぶりを見るととても満足でうれしい」と語ったという。

一方、事故が起きた昨年11月には、北朝鮮メディアが16日付で、金正恩氏が朝鮮人民軍航空・対空軍(北朝鮮空軍・防空軍)の「戦闘飛行術競技ー2019」を視察したと伝えていた。

朝鮮中央通信は、金正恩氏がこの際、「飛行指揮メンバーと戦闘飛行士が競技に積極的に参加して高い飛行術を見せ、熱を帯びた競技を行ったことに大きな満足の意を表した」としていたが、事故があったかどうかには言及していない。北朝鮮メディアが通常、事故報道を行わないことを考えると、リム・ソルさんの搭乗機が金正恩氏の眼前で墜落した可能性も排除できない。

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実際、金正恩氏の視察中に重大な死亡事故が発生したとの情報はほかにもあり、その場面が映像や写真に残っているとの指摘もある。

(参考記事:【画像】「炎に包まれる兵士」北朝鮮、ICBM発射で死亡事故か…米メディア報道

情報筋によれば、北朝鮮空軍は墜落の原因を調査中で、リム・ソルさん死亡の情報は司令部内でのみ知られているという。

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また、金正恩氏はリム・ソルさん死亡の報告を受け、「最も大事な飛行士を失って胸が痛い」という趣旨の発言をしたことが、司令部内で知られているとのことだ。

情報筋によれば、空軍司令部内ではこうした動きを受け、「『青春も命もすべてを捧げ、首領決死擁護精神と不屈の革命精神を末永く輝かせるリム・ソルに学ぼう』とのスローガンが作られた」としている。リム・ソルさん事故死の情報が伏せられていることについて情報筋は、「事故原因の正確な把握と宣伝扇動のための準備が必要だからではないか」と見ている。これらの準備が完了しだい、事故死の情報公開と彼女の英雄化作業が進められるということだ。

一方、情報筋は「北朝鮮当局はリム・ソルさんの家族を平壌に呼び寄せ、高級アパートを割り当てて特別配給を実施するなどの措置を講じているもようだ」とも伝えた。