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北朝鮮では最近、急激に薬物中毒者が増えていると言われている。今年8月初め、内閣の指示に基づき「麻薬掃討グルパ」、つまり麻薬取締班ができ、取り締まりを強化している。

商行為、無職、売春を取り締まる6.24常務、コチェビ(ストリート・チルドレン、ホームレス)を取り締まる9.27常務など、指示が下された日付から取った名前の取り締まり班が存在したが、麻薬専門の取り締まり班ができたのは今回が初めてだ。

(参考記事:【在中北朝鮮国民インタビュー(1)】水害で急増する大人のコチェビ

中国と国境を面する平安北道(ピョンアンブクト)新義州(シニジュ)で中国との貿易業に従事している北朝鮮華僑のHさんは、麻薬掃討グルパは客の多い首都・平壌、中国製の薬物が流入する新義州、覚せい剤が製造されている咸興(ハムン)の3ヶ所にグルパが派遣されたと伝えた。

Hさんはしかし、「麻薬掃討グルパが活動を始めてから、税関も取り締まりを強化したが、不正腐敗がひどく、麻薬を使ってもカネをいくらか掴ませさえすればなんともない」「腐敗の繋がりが切れない限り、根絶は難しいだろう」と悲観的な見方を示した。

デイリーNKは新義州市民のKさんともインタビューを行った。Kさんはグルパについて、人民保安省(警察庁)の監察課の職員、検察所の検事に加え、かつて中毒者だった人も加わっていると述べた。

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以下はKさんとのインタビューを再構成したものだ。

―北朝鮮には麻薬中毒者がそんなに多い?

新義州だけでも1〜2000人ほどいると推測される。高位層や富裕層が多く、麻薬の流通の始発点となる人口200万の平壌には、中毒者がずっと多い。数万人が中毒になっていると見ている。

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―麻薬の種類と価格は?

通常、「オルム」と呼んでいるが、「アイス」、「銃弾」、「デンダ」、「トリドリ」など種類も豊富だ。銃弾を何度か使ってみたが、1錠に1.2ドルだった。「アイス」はその3〜5倍、高ければ10倍以上高い。「トリドリ」は5ドルほどする。「デンダ」は「トリドリ」より安い。

【解説】

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中国からヒロポン(覚せい剤)の原料となるアンフェタミン系の薬物を輸入、それを精製してヒロポンとして製造、海外に輸出するのが北朝鮮の麻薬の製造、流通ルートだが、精製されていない錠剤のアンフェタミンを銃弾、粉状で効果に優れたものをアイスという隠語で呼んでいる。

トリドリは韓国でも同じ名前で呼ばれているエクスタシー(MDMA)で、Kさんは「オランダから取り寄せたもの」と認識している。デンダは中国製のエクスタシーを指すと思われるが、ヘロインを指す場合もある。

―摘発事例は?

7月29日に新義州で公開群衆裁判が開かれた。被告人は65人。罪状は麻薬、(韓流の)CD流通、人身売買などだった。うち30人が新義州出身ではなく、平安南道出身者だったが、おそらくほとんどが新義州に麻薬を仕入れに来て捕まった人だろう。

―処罰のレベルは?

100%教化所(刑務所)送りだ。元々、麻薬犯罪者はカンパン(労働鍛錬隊、軽犯罪者を収監する刑務所)に送り、しばらく閉じ込めて麻薬を断たせていた。しかし、今回は数人ずつ教化所送りにした。処罰が強化されたからだ。

―麻薬掃討グルパの効果は?

一時的には減るだろうが、高位層、富裕層がグルになっているため、根絶は難しいだろう。北朝鮮には、麻薬以外に快楽を楽しむものがなく、不足した医薬品の代わりに麻薬を使うことも多く、根絶は困難だ。グルパは、大都市での掃討作戦を終えれば、地方都市に向かうと聞いている。

(参考記事:北朝鮮の現職市女性同盟委員長の自宅から覚せい剤15キロ発見