ダニエル・ラッセル元米国務次官補(東アジア・太平洋担当)は9月28日、米政府系のボイス・オブ・アメリカ(VOA)のインタビューで、北朝鮮の非核化を巡る米朝対話における韓国の役割について、強い不満を表明した。
(参考記事:「韓国外交はひどい」「黙っていられない」米国から批判続く)同氏は、韓国政府は具体的にどのような役割を果たすべきか、とする記者の質問に対し、次のように答えている。
「韓国政府は、北朝鮮が何をしているのか、動機は何なのか、事実そのままの評価を提供してトランプ政権を助けなければなりません。北朝鮮の行動と脅威、戦略について率直に評価しなければならないということです」
これはつまり、韓国の文在寅政権がこれまで、現実から乖離した見方で北朝鮮を評価し、米国が必要とする事実に基づいた情報を提供してこなかったという意味だ。
北朝鮮の「変化」に過度に期待する文在寅政権の姿勢は、すでに誰もが認識しているものだ。しかしそのことを、米国の元当局者がこれほど明白に指摘したのも珍しいかもしれない。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面文在寅氏の過度な前のめり姿勢が端的に表れたのが、「南北の平和経済の実現で日本に追いつく」と宣言した8月15日の演説である。日本政府による輸出規制措置に対抗して語ったものだが、そのあまりの現実離れぶりに韓国の世論もあきれ返った。
現に、北朝鮮の対韓国窓口機関である祖国平和統一委員会は演説の翌日、報道官談話を発表し、「わが軍隊の主力を90日内に『壊滅』させ、大量殺りく兵器の除去と『住民生活の安定』などを骨子とする戦争シナリオを実戦に移すための合同軍事演習が猛烈に行われており、いわゆる反撃訓練なるものまで始まっている中で公然と北南間の『対話』をうんぬんする人物の思考は果たして健全なのか。まれに見る図々しい人だ」と文在寅氏を非難。
「(韓国当局者と)これ以上話すこともないし、再び対座する考えもない」と宣言し、同氏の平和経済構想を拒絶している。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面ラッセル氏はVOAのインタビューで、次のように続けている。
「韓国の情報当局と軍当局、専門家たちは、現在の米国政府に不足している、北朝鮮に対する深い理解を持っているので、(トランプ政権の)大きな助けになるはずです。バラ色の眼鏡をかけて、北朝鮮を眺めることはとても危険です。韓国、米国、日本の間の調整は、北朝鮮問題の進展に不可欠な前提条件です。現在の韓日の葛藤と敵愾心は、北朝鮮を利するだけで、私たちの共同の利益に重要な課題を提起しています」
北朝鮮と同じ民族であり、同じ言語を使う韓国のリソースを駆使することなくして、北朝鮮を理解し、非核化へと誘導することは難しい。しかし現在の韓国政府は、その役割を果たせなくなっている。北朝鮮の変化を期待するより先に、韓国政府の変化を待望せざるを得ないのが、現在の状況なのである。
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