「使えるのは1日たった3時間」北朝鮮の電力難、制裁で悪化

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北朝鮮は慢性的な電力難の状態にあるが、最近の一時期は改善の兆しも見えていた。しかし国際社会の制裁が長引くにつれ、各地から電力事情の悪化が伝えられている。

平安南道(ピョンアンナムド)のデイリーNK内部情報筋は、首都・平壌郊外の流通の拠点、平城(ピョンソン)の電力事情を伝えた。現地では朝に1時間、夜に2時間、合わせて1日3時間だけ電気が供給されており、朝は電気が来ないこともしばしばある。

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これが今後、さらに悪化する見通しとなっている。理由は「田植え戦闘」だ。

北朝鮮では、都市住民を大量に農村に送り込み、一気に田植えを済ませる「田植え戦闘」が行われるが、当局はそれが本格化する今月中旬から電気を農村に優先的に供給する。そうなると、都市部には電気が来なくなってしまうのだ。

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金氏一家の銅像などをライトアップするために使われる電気を供給する1号線と呼ばれる系統は電力供給が保たれているが、それ以外は工場にも一般家庭にもまともに電気が来ていない状況だ。

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実は平城の電力事情は昨今、改善しつつあった。市内を走るトロリーバスは長年開店休業状態だったが、2017年末から本数が増加、昨年からはほぼ正常レベルの運行に戻っていた。

しかし、冬頃から状況が悪化したようだ。「2月16日(光明星節、金正日総書記の生誕記念日)にも電気が3時間しか供給されなかった」という現状を考えると、トロリーバスの運行は再び止まったものと思われる。

大活躍しているのがソーラーパネルだ。北朝鮮の家庭の多くが自宅にソーラーパネルを設置し、不足する電気を補っている。しかし、「照明やテレビを数時間使うのがやっと」(情報筋)で、冷蔵庫や洗濯機などはとても使えない。

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これに対して国営メディアは、石炭の増産が解決策だと主張している。

朝鮮労働党機関紙・労働新聞は先月8日の社説で「電力生産の基本は火力による電力増産だ」「火力発電所をフル稼働するには石炭生産を確固とした前提にさせなければならない」と主張した。

これに対して住民の間からは「問題は石炭生産ではなく、発電所設備の改善」との指摘が上がっていると情報筋は伝えた。順川(スンチョン)と北倉(プクチャン)の火力発電所は、それぞれ1基しか発電機が使えない状況だという。つまり、設備の老朽化が問題ということだ。また、老朽化が今ほど進んでおらず石炭生産が順調だった1980年代でも、電気を満足に使えたことはなかったというのが、現地住民の証言だ。

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北朝鮮の内部文書にも、発電設備の老朽化を示す数字が記されている。

週刊エコノミスト5月7日号が報じた、北朝鮮の極秘文書「国家経済発展戦略)(2016〜2020年)によると、発電設備の現存能力は設備の7割の518万キロワットに過ぎず、2014年の生産実績も518万キロワットに過ぎない。これでも2003年から2013年の年平均244万キロワットに比べたら改善したものだ。

これに対して北朝鮮は水力だけでも2022年までに600万キロワットの設備を増やし、火力は150万キロワット以上、自然エネルギーは30万キロワット以上の供給量を確保する方針を示しているが、昨今の電力事情は計画通りに進んでいないことを示している。

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