少女時代が好きで脱北し韓国に住む女性が、韓国のラジオに出演して南北首脳会談後の北朝鮮の人々の反応を伝えた。
北朝鮮の両江道(リャンガンド)恵山(ヘサン)出身の女性ユーチューバー、ハン・ソンイさんが10日午前、韓国TBS-FMの時事番組「キム・オジュンのニュース工場」に出演した。
4年前に脱北し、現在は韓国に住むハンさんは北朝鮮に住む知人と電話連絡を取っているという。最近の通話で、南北首脳会談への反応について尋ねてみたところ、北朝鮮の金正恩党委員長と韓国の文在寅大統領が握手するシーンを見て、拍手したり泣いたり笑ったりで大興奮したという。
(参考記事:【写真特集】あの国の人々の素顔「北朝鮮の美女たち2018」)また、両首脳が手を携えて軍事境界線を越えるシーン、通訳なしに語り合うシーンも反響が大きく、知人は「われわれは同じ民族だ、絶対に戦争をしてはならないと感じた」と語ったとのことだ。
さらに、伝統的衣装をまとい金正恩氏を迎えた韓国軍の儀仗隊を見て「昔の風習通りにしているのを見ると同じ民族のお祭りのようだと感じた、衝撃だった」とも語ったとのことだ。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面文在寅大統領については、気さくで堅苦しくなくカリスマもあり都会的だと、肯定的なイメージで受け止められ、金正恩氏の夫人の李雪主(リ・ソルチュ)氏と文在寅氏の夫人の金正淑氏が語り合うシーンを見た人々は「まるで韓国に嫁に出した娘を迎える実家の母のようだ」と評したという。
両首脳が松の木を植えるシーンを見て「このままずっと平和になればいい」との反応が複数の人からあったという。
「こんなことを言ったら逮捕されるのではないか」というハンさんの問いには「虎がタバコを吸っていた頃(大昔の意)の話をなぜするのか、もう問題ない」との答えが返ってきたという。韓国の大統領について肯定的な評価をしても問題がないということだ。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面思想教育では、要綱(レジュメ)が差し替えられ、韓国を指す「南朝鮮傀儡一味」という用語が消え、「南北首脳会談は成功した、同じ民族同士、経済発展に乗り出そう」ということが語られたとのことだ。
1993年生まれのハンさんは、裕福な家庭で生まれ育ち、K-POP、韓流ドラマのみならず韓国の新聞にも触れる機会があり、韓国への憧れを持つようになったという。
2013年10月に脱北し、2014年1月に韓国に到着、その年のうちにバラエティ番組でデビューし、両江道の方言丸出しで喋る明るいキャラクターで人気を集めている。
高英起(コウ・ヨンギ)
1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 、 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 、 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。