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市場規模が全世界で最も大きい中国の電子商取引。ネットショッピング最大手のタオバオ(淘宝)では、北朝鮮が名薬と誇る「血宮不老精」や「脳心麝香」などの漢方薬、高麗人参製品、ポムヒャンギ(春の薫り)化粧品など、様々な北朝鮮製品が売られているが、苦戦を強いられていると米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

北朝鮮製品の売れ行きについて、中国の電子商取引業界関連の情報筋は語る。

「多くの北朝鮮製の商品が出品されているが、一つも売れないものがほとんどだ。『血宮不老精』は売れている方に入るが、1ヶ月に100個も売れない。一方で韓国製の化粧品や電化製品は、多いものでは毎月10万個以上売れている」

販売実績を調べてみると

北朝鮮の貿易駐在員から依頼されてタオバオに血宮不老精を出品したというある中国業者によると、1ヶ月経ったのに1個しか売れていないと嘆いた。

そこで、デイリーNKジャパンは、タオバオでの北朝鮮製品の販売実績を調べてみた。

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脳心麝香の販売量は、どの業者も数個程度に留まっており、血宮不老精に至ってはすべての業者を合わせても、たった1個しか売れていない。販売量が比較的多いポムギャンギ化粧品も、80本程度に留まっている。

ちなみに、韓国の化粧品で最も売れているイニスフリーの基礎化粧品セットは13690セット、韓国の三養食品のラーメン5個セットに至っては、最も多い業者で7万個近くを売り上げ、他の業者の売り上げを含めると数十万個に及ぶ。

売れ行きに興味なし?

そもそも「朝鮮」で検索をかけても表示されるのは、ほとんどが韓国製か、中国国内の延辺朝鮮族自治州製のもので、北朝鮮製品は相対的に非常に少ない。

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タオバオ系列でハイエンドユーザー向けのショッピングサイト「天猫」に至っては、そもそも北朝鮮製品の出品自体がほとんどされていない。

北朝鮮製品を扱っている業者も、あまり積極的に売ろうとしていないようだ。前述の業者によると、北朝鮮の貿易駐在員から出品を頼まれたに過ぎず、売れようが売れまいがどうでもいいと考えているとのことだ。

どこの国でも、ネットショッピングでは粗悪品やニセモノを掴まされることが多い。中でも、誰でも気軽に出品できるタオバオは、安くて品揃えがいいというメリットがある一方で、信じられない業者も多い。

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そこで中国の消費者は、品物そのものを吟味した上で、商品や業者の販売実績を見て、購入決定の判断基準とする。つまり、売れ行きが非常に低調な北朝鮮製品は、ますます売れなくなるという悪循環に陥っているいうわけだ。

そこに中国当局の措置が北朝鮮の電子商取引に追い打ちをかけた。当局は、今年8月1日から、ネットショッピングサイトでの医薬品のBtoC(企業対一般消費者)の販売を禁止した。さらに、昨年4月に制定された「食品安全法」では、ネットショッピングサイトでの健康食品の販売に対しても厳しい制限を加えている。

今のところ、タオバオには依然として、北朝鮮の医薬品、健康食品が出品されているが、今後徐々に姿を消すものと思われる。