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北朝鮮の東海岸の港町、元山(ウォンサン)市は、有名な松濤園(ソンドウォン)海水浴場がある風光明媚なところで、外国人観光客も多く訪れる。

こうした事情から、他の地方より優遇措置を国家から受けている。その代表は電力だとラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

元山の事情に詳しい情報筋によると、今年の北朝鮮は、春の降水量が多かったため、水力発電所の稼働率が例年よりは高まっている。しかし、それでも電力不足には変わりがない。

2013年の北朝鮮(人口2500万人)の発電量は221億キロワット時で、韓国(人口5000万人)の5171キロワット時の4%に過ぎない。

金正恩党委員長は、朝鮮労働党第7回大会で提示した経済発展5ヵ年戦略で電力問題を主要課題として取り上げるなど、電力不足は北朝鮮経済の足を引っ張っている深刻な問題だ。

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足りない電力を分けあって使うため、北朝鮮では「計画停電」ならぬ「計画送電」が行われる。

田植えのシーズンを迎え、農作業に必要な電気を確保するため、農場にばかり電力を送る。そうなると、都会には朝と夜ぐらいしか電気が供給されない。

こうしたなか、例外が平壌市と元山市だ。電気の供給時間は20時間にも達するという。この情報筋は、元山の商人からこの話を聞いたという。

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元山市だけが特別扱いされる理由は何なのか。情報筋は「金正恩氏の故郷だから」と説明する。

「金正恩氏の生まれた場所は公表されていないが、元山の金正日氏の別荘だと言われている。地元でも『金正恩氏は元山沖の島で生まれた』との噂は誰でも知っている。それで金正恩氏は、馬息嶺スキー場、国際空港などを建設し、国際観光特区にしようとしているというのだ」

また、周囲に水力発電所が多いことも元山の電力事情が他よりマシである理由とされている。

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2009年1月に元山青年発電所が完成し、党大会を控えた今年4月末に元山軍民発電所が完成した。前者の総出力は6万キロワット、北朝鮮最大の水豊発電所は80万キロワット。関西電力の奥多々良木発電所が120万キロワットであることを考えると非常に小規模な発電所だ。

ちなみに、東京電力によると日本の場合、1万キロワットの電気は3300世帯分に当たる。完成したばかりの軍民発電所の出力は不明だが、青年発電所と同じと仮定すると12万キロワット、約4万世帯分の電気が供給できる計算となる。

元山市の2008年の人口は約36万3000人。世帯数は不明だが、20万にも満たないだろう。これが日本なら足りないが、北朝鮮の電気使用量は日本ほど多くないため、なんとか足りるのだろう。

北朝鮮の地方都市の中には、年に数回しか電気が供給されないところがある。山奥の農村では、90年代の大飢饉「苦難の行軍」の頃から一切電気が供給されなくなった地域もある。それに比べれば、1日20時間も電気が供給される元山はまさに「人民の楽園」だ。