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中朝国境から北朝鮮を眺めると、非常に緑が少なく、山の頂上付近まで畑で覆い尽くされていることがわかる。

北朝鮮では、70年代から食糧増産のために、山に多くの段々畑を造成した。そのせいで山が保水力を失い、洪水が多発した。それが90年代末の大飢饉「苦難の行軍」の一因となったが、食糧難を解決するために「段々畑」の造成はさらに進められた結果だ。それに加えて、燃料用の薪の切り出しも、山林の荒廃を促進した。

金正恩第一書記は、ハゲ山が元凶と理解しているようで、「全国の樹林化、原林化」というスローガンのもとに、10年以内に全国の山林を元通りにすると宣言した。ところが、緑化はおろか、むしろ森林破壊が進んでいる実態が明らかになった。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

両江道(リャンガンド)の情報筋によると、かつては食料生産や薪の確保のために住民が森林を破壊していたが、今では当局が「施設建設」の名目で推し進めている。

道内で最も森林の多い白岩(ペガム)郡では「10月18日総合農場」の拡張、「白頭山青年英雄発電所」の建設、「大澤(テテク)炭鉱」などの工事で、広範囲に渡って森林破壊が進んでいるという。加えて、水害復旧に必要な材木を切り出す作業も行われ、山林の破壊がさらに進んでいる。

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現在、復旧工事が行われている「白頭山観光鉄道」の現場も、草木一本残らないほどに山林が破壊されているという。

両江道では、今年10月10日の朝鮮労働党創立70周年記念行事のために、三水(サムス)郡、豊西(プンソ)郡、甲山(カプサン)郡の300立法メートルの木材が伐採された。これは木材によって異なるが、原木200本から1000本に相当する量だ。一見少なそうに思えるが、この規模の森林破壊が全国的に進んでいるため、全体では莫大な量になる。

計画的な伐採と植林が行われているのならともかく、当局は庶民の個人耕作地を取り上げた上で、目先のことしか考えず、無計画な伐採を行っているのだ。この有様では、金正恩氏の「10年以内の山林復旧」など夢のまた夢だ。

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ちなみに、恵山(ヘサン)の市場では、荷車1台分(1立法メートル)の薪が80人民元で売られているが、一般家庭では6台分の薪で冬の暖房が賄える。庶民の命を守る薪の伐採を規制する一方で、当局は木を湯水のごとく使っているのだ。