金正恩氏、日本を超えるタワーマンション建設…でもトイレ最悪で死者続出

北朝鮮の電力事情は劣悪だ。そのため、マンションのエレベーターもまともに稼働しない。高層階では水道すら使えないことも珍しくない。水を使うには、地上にある水道まで水を汲みに行かなければならない。咸鏡北道(ハムギョンブクト)清津(チョンジン)市のマンションでは、水が出なくてトイレが使えないため、住民は廊下や階段で用を足し、中には窓から「散布」する人もいるぐらいだ。

最近、平壌を訪れたあるビジネスマンによると、タワーマンションの高層階は空き部屋が多いという。そして、行くあてのないコチェビと言われるストリートチルドレンが、入り込んでねぐらにしているとのことだ。工事が中断し、長年放置されていた105階建ての柳京(リュギョン)ホテルにも、コチェビが忍び込んでいるという。

(参考記事:「手足が散乱」の修羅場で金正恩氏が驚きの行動…北朝鮮「マンション崩壊」事故

北朝鮮当局も保安員(警察官)を動員してコチェビを追い出していたが、捕まえてもどう処遇すればいいかわからず、結局は取り締まるフリをしていたという。完工間近の黎明通りも、他のタワーマンションと同じようにコチェビたちのねぐらになるだろうと、このビジネスマンは見ている。

ちなみに、韓国で最も高いタワーマンションは釜山にある80階建てのウィーブ・ゼニス・タワーA(300メートル)だ。まさか、金正恩氏は韓国のタワーマンションを超えようとしているわけではないと思うが、それにしてもマンション建設に対する執着ぶりは異常だ。

北朝鮮の経済は相対的に良くなっているが、力を入れるべきは無用の長物のタワーマンション建設ではなく、国民の生活を下支えをするインフラ整備だ。しかし、金正恩氏のハコモノ事業は当分止まりそうにない。

高英起(コウ・ヨンギ)

1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。

脱北者が明かす北朝鮮 (別冊宝島 2516) 北朝鮮ポップスの世界 金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔 (宝島社新書) コチェビよ、脱北の河を渡れ―中朝国境滞在記