北朝鮮の今年の食糧生産量が不足し、深刻な状況に陥るという北朝鮮内部消息筋の分析が相次いでいる。今年の冬以降、過去の食糧難のような状況が再来するのではないかという現地の住民の懸念の声も聞こえてくる。
両江道の消息筋は31日にデイリーNKとの電話インタビューで、「最近今年の農業の出来栄えがよくないという噂が広まっているため、米やトウモロコシの価格が200ウォン以上上がった。市場では市場の管理員だけではなく警察も動員されて、価格統制が行われている」と伝えた。
8月30日現在、恵山市場で取引されている価格を見ると、中国産の米がキロ当たり2400ウォン、トウモロコシがキロ当たり1000ウォンだ。このような値上げは平壌や咸興、清津、沙里院、新義州など北朝鮮の主要都市でも確認されている。
同消息筋によると北朝鮮は今年、局地性の豪雨や冷害、病虫害の影響で、農業に多大な被害を被ったという。
農作物の成長に最適な7月も冷夏が続き、米とトウモロコシの成長に悪影響を及ぼしている。北朝鮮当局が今年の新年の談話で一番強調していた豆の作況もあまりよくないという。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面両江道の消息筋は、「農村経理委員会の幹部の話によると、今年の農業は昨年の65%程度に過ぎないという。全体的に出来栄えがよくないそうだ」と話した。
また、「両江道の場合、デホンダン郡は昨年と同様、ジャガイモ農業はいい状態だが、ペガム郡やその他の郡は昨年と比べてあまりよくない。デホンダン郡は土の半分が火山灰で残りの半分は腐植土なので、大雨が降っても水が溜まらない。そのため、天候にはさほど影響を受けない」と説明した。
咸鏡北道の消息筋も、「協同農場ごとに、予想収穫高の判定が始まった。今年の農業は昨年の60%程度の出来栄えだと予想されている。今年は大雨の日も多く、気温も低かったため、海に近い地域の農業は全部だめだった。特に、マツタケがよくない」と強調した。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面咸鏡北道の水産事業所は、ロシアから冷たい海流が流れてきたため、東海(日本海)上のニシンやイカナゴ漁が被害にあったと伝えている。消息筋は、「今年の天気は農業だけではなく、外貨稼ぎにも悪影響を与えた。この地域の外貨稼ぎ機関は貝の身や煮干、ウニなどの海産物、マツタケ、五味子、ワラビなどの山菜が確保できなかったため、非常事態に陥った」と伝えた。
北朝鮮の作況が悪化したと、最近訪朝した農業専門家らも指摘している。1〜8日に訪朝したワールドビジョン・農業技術諮問のハン・ミョンイル博士は、31日に聯合ニュースとのインタビューで、「北朝鮮の米は肥料が足りないためか、色が黄色くて高さもバラバラだった」と指摘した。
また、「韓国からの肥料の供給が2年近く中断しているため、北朝鮮が自力で肥料を調達しているのは確かだ。足りない分は堆肥を使っていると聞いた。しかし、量も質もかんばしくないため、秋の収穫はきっと打撃を受けるだろう」と懸念した。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面こうした中、最近の北朝鮮の宥和策が、農業生産の悪化と直接関係がある可能性も浮上している。韓国政府の関係者によると、26〜28日に金剛山で開かれた南北赤十字会談に出席した北朝鮮側の代表団が、韓国で米が余っていることに言及しながら、人道的な食糧支援を望んでいることをほのめかしたという。
北朝鮮の関係者がはっきりと言及したわけではなかったが、韓国の関係者に米の支援について話したのは李明博政権では初めてのことだ。