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今月初め、処刑されたと見られる朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の李永吉(リ・ヨンギル)総参謀長が逮捕・連行された時の生々しい状況を、平安南道のデイリーNK内部情報筋が伝えてきた。逮捕現場に居合わせた道の幹部から聞いたという。

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(左の黄色い丸で囲った人物が昨年5月に処刑された玄永哲前人民武力相。右の赤い丸で囲った人物が2月に処刑されたと見られている李永吉総参謀長)

逮捕劇の舞台となったのは、2月2日、3日にかけて平壌の4.25文化会館で開かれていた朝鮮労働党中央委員会、朝鮮労働党人民軍委員会の連合会議拡大会議だ。

拡大会議には、金正恩第1書記を筆頭に、党中央の部長、人民軍党委員会委員、内閣、道、市、郡の党責任秘書など6000人が参加。しかし、なぜか一部の参加者は会議の趣旨を知らないまま参加していたという。

そして会議の最中、いきなり蒼光(チャングヮン)保安署(金正恩の護衛警察)の要員数人が突然踏み込んできた。蒼光保安署は蒼光保衛部と並び、朝鮮労働党の中枢機関である組織指導部直属の治安組織だ。

保安員は、次のように命令した。

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「反党反革命分子、李永吉を逮捕しなさい」

命令が下るや、保安員は一般席の最前列に座っていた李永吉氏をはじめ複数の軍最高幹部を緊急逮捕し、連行した。その様子に会議場の空気は凍りついたという。

李永吉氏の罪状は「党の唯一的領導体系」「唯一的領軍体系」に背く「特権、軍閥官僚主義」という。

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李永吉氏はかねがね、軍人ではなく労働党幹部の崔龍海(チェ・リョンへ)氏、黄炳瑞(ファン・ビョンソ)氏、趙然俊(チョ・ヨンジュン)氏らが、唐突に将官クラスの階級章を付けて軍に乗り込んできたことに不満を抱いていたようだ。

こうしたことにより軋轢が生じた結果、李永吉氏は「軍に対する党の領導を拒否した罪」を着せられたのが、今回の処刑の背景だという。

別の情報筋によると、李永吉氏処刑のニュースは北朝鮮国内では報じられていないが、一部国民には伝わり、次のような反応を呼んでいる。

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「使える人材のクビを全部切ったもんだから、残ったのは魂の抜けたロボットだけ」

「幹部たちはロシアンルーレットでもして遊んでいるのか?」