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12月24日は、北朝鮮の金正恩体制にとって重要な日だ。クリスマス・イブだから、ではもちろんない。カレンダーを見ると、この日の欄にはこう書かれている。

「抗日の女性英雄 金正淑(キム・ジョンスク)同志が誕生された」

金正淑とは金日成主席の妻であり、金正日総書記の実母、すなわち金正恩第1書記の祖母である。文字通り「白頭の血統」を生み育てた「国母」であるわけだ。

一方、北朝鮮では憲法上は信仰の自由が認められているのに、キリスト教は「禁教」として弾圧の対象となってきた。秘密警察の国家安全保衛部などが中国から強制送還されるなどした脱北者を取締る際にも、「中国でキリスト教関係者と接触したか」を特に厳しく問いただし、情け容赦ない拷問を加え、処刑している。

(参考文献:国連報告書「脱北者に対する拷問・強姦・乳児殺しの実態」

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しかし実は、北朝鮮の体制はキリスト教と関連し、国民にひた隠しにしている秘密がある。金日成氏自身が、クリスチャンの家庭に育ったという事実がそれだ。

彼の母親である康盤石(カン・バンソク)氏の名前は、新約聖書に出てくる「使徒ペテロ」にちなんでいる。イエスがペテロに「あなたは私の盤石だから、お前の上に教会を建てよう」と語ったように、「盤石」はキリスト教で特別の意味を持つ言葉とされているのだ。

また、金日成氏が教会に通っていたことは、彼の回顧録でも述べられている。両親が教会に行っていたのは「休息で通っていただけだ」とする記述になっているが、実際はそうではあるまい。分断される以前の北朝鮮は、韓国よりキリスト教が盛んであり、平壌(ピョンヤン)は『東洋のエルサレム』と呼ばれていたほどだった。彼の父親が通っていた学校も、キリスト教系の学校だった。金日成氏自身も、キリスト教の影響を強く受けていたとの証言もある。

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ではなぜ、金日成氏はキリスト教を弾圧したのか。首領独裁制の根底には、唯一神を崇めるキリスト教の影響が色濃く投影されているという指摘もある。それだけに、たった一人の最高指導者(金日成、金正日、金正恩)を国民に崇めさせるため、より強力な唯一神=キリスト教を排除しなければならなかったのかもしれない。

それでも、北朝鮮には「地下教会」が存在している。拷問や処刑の恐怖に耐えて信仰を続けるのだから、その生命力は侮れない。また、2000年頃から中国を通じてクリスマス文化が入り込み、若者の間でパーティーを楽しむのが流行っている。

もちろん、北朝鮮当局は、若者達がクリスマスを楽しむ様子を苦々しい思いで見ているだろう。しかし、特権階級が中心になった遊びであり、すでに定着しつつあることから厳しく取り締れないようだ。

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いずれ北朝鮮社会に変化の時が訪れたら、これまでの試練がバネになり、平壌が再び「東洋のエルサレム」になることもあり得なくはなかろう。そうなれば、北朝鮮のキリスト教徒にとってクリスマスは、他の国の人々にも増して特別な意味を持つかもしれない。