• シン・ドンヒョク氏は、完全統制区域からの脱走に成功したことが知られている唯一の人物であるが、脱走は偶然のたまものだった。脱走した日の夕方、彼と友人は周壁そばで薪を集めるよう命じられ、この機会に脱走する決心をした。友人が先に壁に到達し、壁の穴を使って登ろうとして感電死した。死体が線にからまって絶縁体の役割を果たし、シン氏は登って脱走することができた。シン氏はこの危険な決定の動機を次のように語った。
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「新入りの収容者から、外の人々は看守と同じ食べ物を自由に食べられると聞いた。感電死や撃じ殺される可能性はあったが、[収容所の外の人]と同じ食べ物を1日でいいから食べたいと思った。」

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収容所看守は逃げようとする者は射殺するようにと固く命じられており、射殺には報奨がでた。看守と収容者には、逃げようとすれば即決処刑するとの指示が出ていた。

このルールは組織的に実行されていた。脱走の試みへの即決処刑の対象となるかどうかは、収容者が自分のグループから離れようとしていたとか、許可なく周壁に近づいたとかいうあいまいなものだった。

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