人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面

現代アサンの職員であるユ氏が北朝鮮に抑留されてから85日経った。ユ氏は3月30日に脱北策動や体制非難などの疑いで北朝鮮政府に逮捕され、現在まで調査を受けていると言われているが、正確な居所や健康状態、調査の経過などは一切確認されていない。

このため、一時ユ氏の「平壌護送説」や「死亡説」までささやかれた。北朝鮮政府が韓国政府の面会の要求を黙殺して、「非公開の調査」を続けているため、様々な憶測が流れている。

19日に開かれた、開城工団に関連した南北当局間の実務会談でも、北側はユ氏について「元気だ」と確認しただけだった。韓国の代表団が基調演説を通じて早期釈放や面会の許可などを要求したが、鼻で笑うこともなかったという裏話がある。家族が書いた手紙の伝達の要請も拒まれた。

北側が今回の実務会談で「開城工業地区と金剛山観光地区の出入及び滞在に関する合意書(以下出入・滞在合意書)」に基づいてユ氏を処理すると表明したことだけが慰めだ。最低限、南側の同意なしにユ氏を起訴しないという意味であると解釈できるからだ。

出入・滞在合意書の10条2項には、南側の人の犯罪行為について、「違反の程度によって警告または罰則金を賦課するか南側に追放し、南と北が合意する厳重な行為に対しては双方が別途に合意して処理する」と明示されている。

人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面

だが、これも北朝鮮がユ氏の問題を会談のテーブルに上げて始めて協議が可能になる。そのため、一部では北朝鮮が開城工団に関する交渉で南に対する主導権を維持するために、ユ氏をしばらく止めておく可能性が高いと推測されている。

政府が南北当局間の実務会談と関連して、「身辺の安全と開城工団の安定的運営」という原則に基づいて、ユ氏の問題を最優先に解決するという方針を明らかにしたため、北朝鮮が無理やり賃金や賃貸料の引き上げを要求したにもかかわらず、会談場に足を向けざるを得ないという指摘である。

高麗大学のユ・ホヨル教授は22日にデイリーNKとの通話で、「北朝鮮はアメリカと女性記者の問題を協議した後、ユ氏の問題を取り上げる可能性が高い」と言い、「だが韓米を含めた国際社会が強力な対北制裁を実行に移すなど、対決局面が深まっており、北朝鮮の立場が変わることはしばらく期待できない」と懸念した。

人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面

北朝鮮がユ氏の問題を「議題」として取り上げる可能性は、当分は低いという観測である。既に開城工団関連法や契約の無効化を宣言して、賃金や賃貸料を引き上げる案まで発表した北朝鮮には、「ユ氏カード」を性急に取り出す理由はなさそうだ。

北朝鮮がユ氏の問題で前向きな姿勢に出るようにするための韓国政府の「切り札」もあまりない。「開城工団閉鎖の検討」や 「北側の賃金・賃貸料引き上げ要求案の受け入れ」などが北朝鮮を圧迫できる手段としてあげられるが、韓国内の世論の合意も不透明であり、政府がこれを推し進めるのも難しい。

韓国政府は既に、開城工団に関する法律と契約を遵守することを明らかにして、北側の賃金や賃貸料の引き上げの要求を拒否したが、北側には交渉する意志があると判断して、「開城工団の閉鎖」は考慮していないという。

人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面

したがって、北朝鮮はユ氏の抑留を一種の「花遊牌(一方は大きな損失を受けるが相手には特に損失がないこと)」として活用しながら、自分たちが満足できる対価を要求するはずだという分析が出ている。アメリカ人女性記者の問題と関連して、アメリカが「人道的釈放」を要請したにもかかわらず、「抑留→拘束→裁判→刑の執行」という手順を踏んでいることがこれを裏付けている。

北朝鮮の核実験による周辺の情勢も、ユ氏の問題の解決を難しくしている。韓米をはじめとする国際社会は強力な対北制裁を主張しており、北朝鮮も韓米首脳会談の結果に強く反発するなど、強硬な姿勢を固守している。

政府のある関係者はこの日、「政府はユ氏の問題を解決するために、南北対話の動力を出し続けるしかない状況」と言いながらも、「北側がユ氏の問題に対して口を閉ざし続けており、状況の進展は難しい」と打ち明けた。