北朝鮮で、国家の「権威」や「名誉」を悪用した詐欺事件が急増していると米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が伝えた。国家的な行事や大会に「参加する資格を与えてやる」と言いながらカネをだまし取るという。

第2回全国青年美風先駆者大会の参加者と記念撮影をする金正恩氏/2015年5月17日
第2回全国青年美風先駆者大会の参加者と記念撮影をする金正恩氏/2015年5月17日

社会主義的権威が幅をきかすという意味では、世界的に見ても北朝鮮は最高水準にあると言っても過言ではない。その権威社会を支えるのが、個人や組織の善行や業績を称える様々な大会だ。選ばれて参加したこと自体が権威となり、社会地位も上がるため参加を希望する住民は多い。

最近では、5月13日と14日に平壌の4・25文化会館で「全国青年美風先駆者大会」が開催された。善行を行った者を表彰する行事だが、咸鏡南道(ハムギョンナムド)では、「カネを払えば大会に参加させてやる」とカネをだまし取る詐欺事件が発生した。

詐欺師は、労働党の幹部を名乗りながら「この大会に参加すれば労働党入党が楽になるし、出世の道も開ける」と甘い言葉で誘惑。多数の富裕層の子どもが騙された。事件を知った北朝鮮当局は、地域にウワサが広まって社会が動揺することを恐れて沈黙を貫いたという。

これだけではない。7月27日の「戦勝記念日」(朝鮮戦争休戦日)には、朝鮮戦争に参戦した退役軍人だけが参加できる「全国老兵(退役軍人)大会」が開催される。この大会も参加するだけで名誉になるが、やはり「参加資格」をちらつかせた詐欺事件が、全国各地で発生した。

中朝貿易関係者によると、中国人民元で500元(約1万円)以上をだまし取られた被害者は、咸鏡南道だけでも60人を超えると伝えた。

詐欺事件の多発に業を煮やした金正恩氏は、ついに6月17日に指示を出したと慈江道(チャガンド)の情報筋は語る。

「20日の幹部講演会では、幹部を装ってカネを騙し取る詐欺師や、賄賂を要求する幹部などをすべて取り締まれという指示を出した。また、60歳以上の老兵には、大会参加をもちかける人物が訪れたら、詐欺師だからすぐに通報せよという指示が下された」

【関連記事】
北朝鮮、カネまみれの“品行方正”大会
北朝鮮で「全国青年美風先駆者大会」が開催
金正恩氏、「青年美風先駆者大会」で記念撮影

    関連記事