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4月15日の故金日成主席の誕生日「太陽節」に際して行われるマスゲームに、今回もまた各地の高校生が動員された。

北朝鮮の公式の説明によると、1961年9月19日に平壌のモランボン競技場で行われた「労働党時代」がマスゲームの元祖だとのこと。その規模は80年代からどんどん膨れ上がり、2002年の金日成氏生誕90周年の時には10万人規模の巨大マスゲーム「アリラン」が開かれるに至った。世界的に有名な北朝鮮の「お家芸」と言えよう。

各自の負担は重いが…

平安南道(ピョンアンナムド)のデイリーNK内部情報筋によると、今回のマスゲームの練習は3月末から始まったとのことだ。

マスゲームと言えば華やかな衣装やプラカード演技が見ものだ。80年代までは様々な備品が国から支給されていたが、国の懐事情が厳しくなった90年代からは参加者の自己負担に切り替えられてしまった。参加者はコメ10キロ分にあたる5万ウォン(約750円)ほど払わされるという。

巨大マスゲーム「アリラン」に参加した平壌の女性たち ©Matt Paish
巨大マスゲーム「アリラン」に参加した平壌の女性たち ©Matt Paish

当然、貧しい家の子どもたちにそんなお金を出す余裕などない。経済的負担を逃れようと欠席届を出すが受け取ってもらえない。一方で、幹部やトンジュ(金主=新興富裕層)は子どもたちをマスゲームの練習をさせまいとニセの診断書を作ったり学校に賄賂を渡したりする。

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高級中学校(高校)の生徒たちは午前の授業が終わると体育教師の指導で夜遅くまでマスゲームの練習をさせられる。指導も厳しく雨が降ったり寒かったりするので生徒たちはクタクタになる。

また、平壌ならばおやつも出るし参加後は記念品をもらえたりするが、地方ではおやつはおろか弁当すら出ない。費用負担に加えて勉強の時間も減らされるので親たちも子どもたちも不満たらたらだ。

最後は川の畔の暗がりで…

「マスゲームのプラカードセクションに配置された生徒たちは大変だ。3時間座りっぱなしでトイレにも行けないので膀胱炎になってしまい薬を飲んで3時間を乗り切る生徒もいる。生徒たちは『太陽節だけに太陽の熱気が身を焦がす、つまり俺たちを殺そうとしているわけだよ』などと冗談を言い合っている」(内部情報筋)

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それでも、中にはマスゲームの練習に参加するのを心待ちにしている高校生もいる。

平壌の別の情報筋は「確かに体力的にはつらいけど、各地域から同年代の学生が一同に会するのをワクワクしながら待っている高校生たちも多い」と話す。

彼らのお目当ては、ほかならぬ異性との「出会い」である。

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「高校生の間では毎年、あそこの学校には美人が揃っている、あっちの学校の誰それはイケメンでケンカも強い、なんていう噂が出回るのです。マスゲームの練習は、それを確認したり、好みの異性にアタックしたりする上で最大のチャンスなんです。さらに、マスゲーム会場の近くにある大同江の畔には、草木のうっそうとした『デート・スポット』もある。お目当ての相手とそこに消えてこそ“猛者”と言われるのです」(前出・平壌の情報筋)

いずれ北朝鮮の高校生たちから、ナンパの武勇伝を直に聞いてみたいものだ。