「人間は飢えているのに」金正恩の“ペット大量輸入”に国民反発

深刻な食糧難と物価高騰に苦しむ北朝鮮で、中国から犬や猫などのペットが大量に輸入されていることが分かり、住民の間で反発が広がっている。背景には、金正恩総書記自らが平壌のペットショップを視察し、“愛玩動物ブーム”を後押ししている事情があるとみられる。

中国の対北消息筋がデイリーNKに伝えたところによると、最近、北朝鮮の貿易会社が中国・丹東経由で多数のペット犬を輸入した。輸入されたのはマルチーズやヨークシャーテリア、ビーグルなど外国産犬種が中心で、ケージに入れられた状態で新義州へ運ばれ、その後すべて平壌に移送されたという。ペットフードや薬品、関連用品も同時に搬入されたとされる。

消息筋は「犬だけでなく猫やオウムなども北朝鮮へ入っている」と証言。「平壌の特定階層向けの消費財として扱われているようだ」と語った。

北朝鮮では近年、慢性的な食糧不足に加え、外貨不足や物価高騰が続いている。地方では一日一食でしのぐ農民も多いとされる中、富裕層向けのペット市場育成に国家が動いていることに、住民の不満が高まっている。

住民からは「食べていくのも苦しいのに犬や猫どころではない」「人間用の薬すら足りないのに、なぜペット薬品なのか」といった批判の声が出ているという。

(参考記事:野犬に襲われ無残にも…北朝鮮「21歳女性兵士」の悲劇

北朝鮮メディアは先月初め、金正恩氏が平壌・和盛地区の「華城ペットショップ」を視察した様子を大々的に報じた。映像には、金氏が子犬を抱きながら娘のジュエ氏と会話する場面も含まれていた。

最高指導者が公開の場でペット販売施設を視察するのは異例で、対外的には「親しみやすい指導者像」を演出する狙いがあるとみられる。一方、内部的には、新興富裕層「トンジュ(金主)」の消費需要を刺激し、国営商店へ外貨を吸収する思惑も透ける。