「平壌は我々を助けた」北朝鮮が初めて得た大国からの承認
9日、モスクワの「赤の広場」を行進した朝鮮人民軍の混成縦隊は、単なる儀礼的な参加部隊ではなかった。ロシアの対独戦勝記念日に外国軍が加わること自体が象徴的だが、今回はさらに特別な意味を帯びていた。閲兵式後、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が北朝鮮部隊の指揮官に直接謝意を示した場面は、朝ロ関係がすでに「形式的友好」を超えた段階に入ったことを物語っている。
背景にあるのは、ロシア西部クルスク州をめぐる戦闘である。プーチン氏は先に、平壌の海外軍事作戦戦闘偉勲記念館の完成に際して金正恩総書記へ送った書簡で、「平壌が我々を助けた」との趣旨を述べた。これは外交辞令として片付けるには重すぎる表現だ。北朝鮮は建国以来、常に「援助される側」の国家だった。朝鮮戦争では旧ソ連と中国の軍事支援なしに体制維持は困難だった。冷戦期にはソ連圏から石油や工業設備を受け取り、中国からは食糧支援を受け続けた。1990年代の「苦難の行軍」では国際社会の人道支援に依存し、近年も中国との貿易やロシアとの資源取引に支えられている。
その北朝鮮に対し、核超大国ロシアの指導者が「助けられた」と公然と言った意味は極めて大きい。金正恩氏にとって、それは単なる感謝の言葉ではない。北朝鮮が初めて「大国を支援する側」として認知された瞬間だからである。
金正恩政権は近年、「自主」を従来以上に強調してきた。韓国との統一路線を放棄し、「敵対する二国家」を宣言した背景にも、他国に左右されない主体国家像を打ち立てたい思惑が透ける。その延長線上でロシア支援は、単なる武器輸出や派兵ではなく、「我々は歴史を動かす側に立った」という自己認識を与える。
(参考記事:「ロシアが助けてくれる」打ち砕かれた北朝鮮の希望…プーチンの裏切で「経済危機」も)
今回の閲兵式参加も、北朝鮮国内では「戦勝国ロシアと肩を並べる軍隊」として大々的に宣伝されるだろう。しかもプーチン氏は、北朝鮮を単なる補給源としてではなく、「共に戦った同盟国」として扱い始めている。これは金正恩氏にとって、父・金正日氏や祖父・金日成主席の時代にも容易には得られなかった政治的承認である。
もちろん、実態として北朝鮮経済がロシアや中国への依存から脱却したわけではない。しかし重要なのは、金正恩氏が「援助される小国の指導者」ではなく、「大国を助けた同盟国の指導者」という物語を手にした点にある。
「平壌はいつも、あなたと共にある」。金正恩氏がプーチン氏への祝電で使ったこの一文は、単なる友好表現ではない。そこには、「今やロシアもまた平壌を必要としている」という、北朝鮮側の強い自負がにじんでいる。
