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もちろん、他のシナリオも可能だ。金正日独裁に代わる政権は、吸収統一後の民主主義体制だけでなく、中国の工作がもたらす親中国権威主義政権もあげられるだろう。

だがこの場合も、北朝鮮は類似の問題を解決しなければならないだろう。中国は共産主義の看板を掲げているが、もう一つの資本主義開発独裁だ。現在、中国は人権の条件も労働運動の条件もよくはないが、金正日の北朝鮮とは比べられないほどよい。北朝鮮にもこうした開発独裁政権が誕生したら、北朝鮮の労働者たちは、ある程度自分の利益を保護できる機会を得るだろう。もちろん、吸収統一のシナリオよりもかなり困難な状態で労働運動をしなければならないだろう。それでも、この条件の下では労働運動が可能になるため、韓国の左翼陣営から様々な形で支持が必要だろう。

つまり、北朝鮮体制が崩壊した後、左翼勢力には北朝鮮の庶民を韓国の資本による搾取から保護する義務がある。だが、主体思想に対する錯覚から自分の意識をまだ解放することができていなかったNL系のような親北朝鮮勢力は、こうした義務を果たせるか疑わしい。彼らは北朝鮮が’地上の楽園’だと思っているが、北朝鮮の現実の惨劇を自分の目で見た後は、乗り越えるのが困難な精神的打撃を受けるだろう。この打撃に対する反応は予測できない。だが、私たちはヨーロッパである程度これに似た現象を見た。

1950年代中盤まで、ヨーロッパでは共産主義の影響が大きかった。ヨーロッパの知識人の多くがソ連の独裁者スターリンを理念化し、ソ連という国家を地上のユートピアとみなした。もちろん、彼らはソ連を直接経験することができなかったが、こうした意識はソ連の宣伝出版物を読んだり、スターリンの特務警察の保護と監視の下でソ連を短期訪問した時に得た歪曲された知識によって形成された。

だが、実際にはソ連に対して何も分かっていない自称”進歩知識人”たちは、ソ連政府の宣伝を録音機のように繰り返すだけでなく、スターリン時代の飢饉と粛清の証拠は“保守派の偽造”と言い、騒ぎ立てた。1956年に、ついにソ連の共産党指導部がスターリンのテロ(粛清)の規模をある程度認定した。1950年代末からはソ連の出版物にも、スターリンのテロ政策と飢饉をはじめとする’経済の誤解’に対する証拠が露出し始めた。これが西洋の自称“進歩知識人”には深い精神的な衝撃となり、多くの人が共産党から脱党した。脱党者の中には、後に罪責感のため、すべての政治活動に嫌悪感を感じた人もいたし、極右の立場に向かってしまった人もいたし、民族主義や宗教活動に熱心になる人たちもいた。

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だが、大部分のフランスの教授やイギリスの記者にとって、ソ連は遠くて遠い国、個人的関係がない国、言葉と文化が分からない国にすぎなかった。彼らは1956年以後もスターリンの粛清と殺人的な飢饉について本や新聞だけから学ぶことができた。

韓国の場合、NLなどの親北朝鮮勢力は、自分の目で北朝鮮の政治犯収容所と北朝鮮の農民の惨めな生活を見ることになれば、よりひどい打撃を受けるだろう。その後、彼らが果して政治的活動を続けることができるのかはわからない。

また、金日成や金正日の殺人的な独裁を露骨に褒め称えたことがある韓国の親北朝鮮勢力が、脱金時代に北朝鮮の住民たちの信頼を得るのはとても難しいだろう。今、親北朝鮮的なメディアで’北朝鮮の繁栄と幸福’を宣伝している人々は、自分自身は主観的だと率直に言うことができるかも知れないが、北朝鮮の人民の目には’愚か’か’嘘つき’にうつるのは確かだ。

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今、親北朝鮮的出版物に出ている論文は今後誰もが見られるが、その著者たちは後に永久に名誉損傷を被るかも知れない。北朝鮮の人民は、彼らは主体思想派出身だから、永遠に信じてはならない人であると考えるだろう。

そのため、韓国で金父子政権を褒め称えずに、その殺人的な独裁に何の錯覚もない左翼勢力が強化されることは悪くない。筆者はもちろん、彼らの長期的な目標には全く同意しない。ソ連と東欧を自ら体験した筆者には、左翼勢力が志向する社会モデルが引き起こす結果が何であるのか、あまりにもよく分かるからだ。

それでも人類の社会で左翼勢力があるということは不可避であるだけでなく、必要なことだ。長期的な問題に対しては意見が異なるが、現実を否定しない左翼勢力は、統一問題や統一後の復旧事業の問題を解決する際に重要な役割を果たせるだろう。

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(※ 外部の筆者のコラムは、本紙の編集方針と一致しない場合があります.-デイリーNK 編集部)