金正恩氏、軽歩兵部隊の迫撃砲射撃競技を視察 「敵を完全に壊滅できる戦闘力」強調

金正恩氏が視察した軍軽歩兵部隊の迫撃砲射撃競技(2026年4月26日付朝鮮中央通信)
金正恩氏が視察した軍軽歩兵部隊の迫撃砲射撃競技(2026年4月26日付朝鮮中央通信)

北朝鮮国営の朝鮮中央通信は26日、金正恩総書記が、いわゆる「朝鮮人民革命軍」創建94周年にあたる25日、各級大連合部隊(軍団級)傘下の軽歩兵部隊による迫撃砲射撃競技を視察したと報じた。軍高官を一堂に集めた今回の視察は、北朝鮮が歩兵戦力の実戦能力向上を引き続き重視している姿勢を内外に誇示する狙いがあるとみられる。

報道によると、金正恩氏は視察の席で「戦闘訓練は、敵を完全に壊滅させることのできる戦闘力をあらゆる面で鍛え上げることに中心を置いて組織、進行しなければならない」と強調した。ただ、近年の軍関連行事でしばしば見られる韓国や米国を名指しした威嚇的な表現は伝えられておらず、具体的な対外メッセージの有無は明らかになっていない。

視察には、努光鉄国防相、李永吉朝鮮人民軍総参謀長、キム・ソンギ総政治局長のほか、国防省指揮官や各大連合部隊の軍政指揮官らが同行した。軍の作戦、政治の両部門の幹部が総出で参加したことから、今回の行事が単なる記念視察ではなく、全軍規模の訓練強化方針を確認する政治的意味合いを持つ可能性もある。

また同通信は別の記事で、金正恩氏が同日、西部地区の機械化歩兵師団傘下の連合部隊も祝賀訪問したと伝えた。軽歩兵部隊の火力運用能力と機械化部隊の機動戦力を同日に点検した格好で、北朝鮮が局地浸透や奇襲を担う軽歩兵と、正面戦力となる機械化部隊の双方を並行して強化している実態がうかがえる。

今回の行事の名目となった「朝鮮人民革命軍」は、金正恩氏の祖父・金日成主席が旧日本統治下で「抗日パルチザン闘争」を率いたとする北朝鮮独自の革命史観に基づく武装組織で、北朝鮮はこれを自国軍の源流と位置づけてきた。ただ、史実性をめぐっては研究者の間で懐疑的な見方が根強い。

北朝鮮は1978年から2017年まで4月25日を「軍創建日」として祝賀してきたが、その後は朝鮮人民軍創設日とされる1948年2月8日に変更した。革命史観と国家建設史をその時々の体制宣伝に応じて使い分けてきた経緯があり、今回の94周年行事も、抗日武装闘争の正統性を改めて強調しつつ、金正恩体制下の軍事力増強を歴史的連続線上に位置づける演出との見方が強い。