「食糧足りず出勤できない」北朝鮮の軍需工場から逃げ出す労働者

高出力ミサイルエンジンの生産現場を視察した金正恩氏(2025年9月2日付朝鮮中央通信)
高出力ミサイルエンジンの生産現場を視察した金正恩氏(2025年9月2日付朝鮮中央通信)

地方の立地条件も状況を悪化させている。工場が集中する地域の中には農地に乏しい山間部も多く、自給も難しい。このため「家族の食糧が途絶えたことで出勤を断念し、市場での現金収入に頼る労働者が増えている」という。

賃金水準も低迷している。月給は多くても10万~20万北朝鮮ウォン程度とされるが、コメ価格は3万ウォン以上に達しており、給与だけで家族を養うのは困難だ。結果として、軍需工場であっても労働力の維持が難しくなりつつある。

北朝鮮では近年、軍需産業を国家戦略の中核に据え、ミサイル開発などに注力してきた。しかし今回の報道は、その基盤である労働力確保すら揺らぎ始めている現実を示唆している。食糧不足が長期化すれば、軍需優先政策そのものの持続性が問われる可能性もある。