北朝鮮、党幹部に「科学技術学習」義務化 出欠管理と評価連動で統制強化

北朝鮮の最高人民会議第15期第1回会議の1日目(2026年3月23日付朝鮮中央通信)
北朝鮮の最高人民会議第15期第1回会議の1日目(2026年3月23日付朝鮮中央通信)

北朝鮮当局が党幹部に対し、毎週金曜日に行われる「科学技術学習」への参加を事実上義務化し、出欠管理や人事評価と連動させる形で統制を強化していると、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が20日に伝えた。急速に進む科学技術への対応力を幹部に求める一方、学習を通じた統制手段としての側面も浮かび上がっている。

平安北道の住民は18日、RFAに対し「当局は最近、『金曜・科学技術学習』に対する監督と統制を一段と強めている。党幹部への管理がますます厳しくなっている印象だ」と語った。先月には、党幹部に対し同学習へ「100%参加」を求める特別指示が出されたという。

当局は、科学技術の進展に幹部が対応できなければ政策の指導・監督が不十分になるとの論理を掲げている。これを受け、学習の前には出席確認が徹底され、欠席者については理由の提出を求められる。正当な理由なく欠席した場合、会議での批判に加え、年次の評価書にも反映される仕組みだ。

さらに当局は、学習内容をめぐる部門別の討論や論争、理解度の評価を重視するよう指示しており、現場では従来の「金曜労働」よりも「金曜・科学技術学習」が重視される雰囲気が強まっているという。学習は月1~2回実施され、その週は建設現場や農村での肉体労働に参加する「金曜労働」は免除される。

北朝鮮では1970年代後半から、幹部が現場で労働に従事する「金曜労働」が行われてきた。労働者階級の精神を学び思想を鍛えることが目的とされてきたが、近年はその位置づけに変化が生じている可能性がある。

(参考記事:「死ねないから生きてるだけ」北朝鮮”強制労働”の過酷な実態

咸鏡北道の別の住民も19日、「当局は責任幹部から無条件で『金曜・科学技術学習』に参加するよう指示した。さまざまな理由をつけて欠席する幹部が多かったため、警告の意味合いがある」とRFAに証言した。

同住民によると、この学習制度は2023年に最高指導部の指示で導入されたとされる。土曜日に実施される政治思想中心の「土曜学習」と異なり、「金曜・科学技術学習」は時々の科学技術課題を扱うのが特徴だ。

一方で、現場の幹部の反発も小さくない。学習後には、習得内容を業務にどう適用したかを発表することが求められるが、こうした取り組みに対し「幹部たちは強い負担感を抱いている」との声も出ている。

背景には、党幹部の実務能力への不信も指摘される。住民は「この制度は、党幹部の能力が行政幹部に比べて劣る状況を補うために設けられた側面がある」とし、「多くの幹部は能力よりもコネや地位でポストに就いているのが実情だ」と述べた。

指示や統制に慣れた幹部にとって、専門的な用語や数値を伴う学習を長時間受けることは容易ではない。科学技術の習得を名目とした今回の措置は、幹部層の能力底上げを図る試みであると同時に、組織統制の再強化という側面も持ち合わせているとみられる。