北朝鮮は経済分野における対外依存を警戒すべきだと強調し、「自力更生(自力自強)」のスローガンを掲げているが、実際の現場では不足する資本やインフラを補うため、外資誘致に力を入れている実態が明らかになっている。
在中国のデイリーNK対北消息筋によると、先月末、北朝鮮内閣の水産省傘下にある各道の水産事業所を代表する実務者らが中国に派遣され、遼寧省丹東や東港一帯で活動する現地の貿易業者や個人投資家と接触し、投資誘致活動を行った。さらに彼らは、山東省にある船舶や漁具を扱う企業関係者とも会い、合弁による養殖や漁業投資を提案するなど、幅広い協議を進めたという。
北朝鮮側の実務者は、東西海の漁場を活用した協力事業を中国側に提案し、船舶や設備、運転資金の投資を求めたとされる。具体的には、7500馬力級の大型漁船をはじめ、漁網など各種装備や燃料費などを先行投資する条件を提示したという。
また、運営方式としては、北朝鮮側が漁場と労働力を提供し、中国側が資本と設備を投入する、いわゆる「資源と資本の交換」型の構造が示された。獲得した水産物は海上で直接取引し、中国へ搬出する方式も言及された。
このほか、養殖場の設置や関連技術の提供も投資条件に含まれ、事業領域を拡大する意図も示された。北朝鮮側は、水産物によって初期投資資金を十分回収できると強調し、積極的に投資を呼びかけたという。
しかし、中国の業者や企業、個人投資家の反応は概して否定的だったという。とりわけ過去に対北投資で失敗した経験を持つ投資家の間では、依然として慎重な見方が根強い。
実際、2003年から2013年にかけて水産業関連の対北投資に乗り出した一部の中国人投資家は、当時200万〜500万元規模の資金を投じながら回収に失敗し、撤退を余儀なくされたケースがあったとされる。
また、一定の成果を上げて投資を継続していた投資家でさえ、新型コロナウイルス流行期に事業が強制的に中断されるなどし、資産を残したまま撤退するなど大きな損失を被ったとされる。こうした過去の経験が、今回の協力協議にも少なからぬ影響を及ぼしているという。
消息筋は「水産業は他の分野に比べて成果がほとんどないとの評価が支配的だ」とし、「過去に北朝鮮へ投資して失敗した経験のある投資家ほど、より慎重に対応している」と伝えた。
一方で、一部の中国人投資家は、北朝鮮側に対し、管理・運営権の確保を条件とする逆提案を行い、間接的に投資の意思を示したともいう。単に資本や技術を提供する従来の構造から脱し、経営に直接関与することでリスクを抑えようとする狙いだ。
しかし北朝鮮側がこれを受け入れる姿勢を示さなかったため、今回の協議は具体的な合意には至らず、「今後再協議する」との原則的な水準で終わったとされる。
このように北朝鮮が水産分野で中国側の投資を打診する動きは、最近見られる一連の外資誘致の流れと軌を一にするものとみられる。今後、生産分野全体において外国の民間資本の導入が拡大するかどうかが注目される。
