北朝鮮のIT要員が偽造身分で海外企業への就職を図る事例が増加している。IT業界では、面接の場で北朝鮮体制への評価を問う“異例の検証法”が注目を集めている。
暗号資産分野で調査・発信活動を行う専門家T氏は6日、交流サイト(SNS)「X(旧ツイッター)」で、北朝鮮IT要員の疑いがある応募者を見分けるオンライン面接の映像を公開した。T氏は「恒久的な手法ではないが、現時点では有効なフィルターだ」とした上で、「北朝鮮の要員で最高指導者を公然と批判できた例は確認していない」と指摘した。公開された映像では、応募者は技術的な質問には流暢に応答する一方、北朝鮮の最高指導者である金正恩総書記に対する「悪口」を言ってみるよう求められると動揺を隠せず、沈黙の末に面接を一方的に終了した。面接官は「政治的意図ではなく、要員識別のための簡易テストだ」と説明していた。
また、オーストラリアの報道番組60 Minutes Australiaも先月、同様の検証事例を紹介した。番組制作チームがIT採用担当者を装い、北朝鮮IT要員とみられる人物とオンライン面接を実施したところ、応募者は米国の大学を卒業しシリコンバレー在住と主張したが、地理に関する基本的な質問に答えられず、不自然な応答が目立った。
(参考記事:金正恩命令をほったらかし「愛の行為」にふけった北朝鮮カップルの運命)
米セキュリティ企業の調査では、北朝鮮に関連するIT要員が世界各地で年間約8億6400万ドル(約1300億円)規模の収益を上げていると推計される。米当局も2018年以降、同様の手法で毎年数億ドル規模の資金が北朝鮮体制に流入しているとみており、サイバー分野を通じた外貨獲得の実態が改めて浮き彫りとなっている。
