北朝鮮が25日の軍創建記念日を前に、軍内部でいわゆる「白頭血統」の正統性を強化するための思想教育を本格化させていることが分かった。内部消息筋によると、軍幹部や兵士を対象とした特別講演会の実施が全軍に指示された。
北朝鮮の軍消息筋が韓国デイリーNKに伝えたところによると、朝鮮人民軍総政治局は3月下旬、「白頭血統は革命の指導的継承を担う比類なき家門であり、決死擁護の精神で守らねばならない」とする資料を各部隊に下達。これに基づく特別講演の開催を命じたという。講演は、金正恩の軍事指導業績を宣伝する目的を掲げつつ、同時に金一族による世襲統治の正当性を軍に浸透させる狙いがあるとみられる。資料には「白頭血統のみを信じよ」「白頭血統の決死擁護は国家と人民を守る最前線」といった表現が並び、体制の中核概念を強調する内容となっているという。
注目されるのは、金正恩氏の娘である金ジュエ氏の名前こそ言及しないものの、「嚮導(きょうどう)の星」と表現して称揚している点だ。資料では「最高指導者と苦楽を共にし、国家と人民の歩みを見守る存在」として、その役割を暗示的に描写しているという。さらに、3月に平壌の訓練施設を訪れた際、金正恩氏が娘に戦車の操縦を教えたとする逸話も盛り込まれているとされる。
「嚮導」という表現は本来、最高指導者に対して用いられる単語だ。つまり今回の講演資料は「(金正恩氏の)娘を信じよ」「娘に従え」と強調し、将来的な「4代世襲」への内部的抵抗感を抑え、軍の忠誠を早期に固める狙いがあるのだろう。
(参考記事:【写真】普通の父娘関係なのか…波紋を呼ぶ金正恩と娘の異様な振る舞い)
さらに、資料には「4代、5代、さらには100年、200年にわたり偉大な家門を戴く誇りを持て」との記述も含まれ、永久的な体制維持を意識していることがうかがえるという。
一方で、軍事面でも節目に合わせた行事の準備が進められている。消息筋によれば、人民軍総参謀部や国防省は射撃競技や砲兵演習、戦術訓練競技などの開催を計画。さらに各軍団単位でバスケットボールやサッカー、水泳などの体育行事も組織され、部隊の結束強化と士気向上が図られているという。
対外的緊張が続く中、北朝鮮当局は思想教育と軍事訓練を並行して進めることで、体制の安定と統制の維持を図る構えとみられる。
